コラム

好奇心とクリエイティビティを引き出す「伝説の授業」採集

1時間目:「1週間が8日に増えたら、その1日何をしますか?800字以内で書きなさい。」

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〜「なぜ、自分もみんなも、こういう面白い問題が好きなんだろう?」

2010年の夏。故郷の佐賀空港10周年イベントで講演を頼まれた。空港でのトークらしく、タイトルは「アイデアはどこへ飛んでもいい」。幅広く面白いことを企画していく、そんなことを喋る回だったが、普通に始めてもつまらない。せっかくだからと冒頭で問題を投げかけてみた。

出したのは、クリエーティブテストと呼ばれる、答えのない問題。

その問題自体は、今日これから紹介する中に含まれているのでここでは明かさないが(後半に登場する3問です)、これが…超が付くくらい盛り上がった。子どもが手を挙げて名回答を披露すれば、会場は拍手に包まれ、それにつられておじいさんも手を挙げる。おかげでツカミはOK。

「これはコピーライターやCMプランナーになるために、社内で出される選抜試験で、こういう問題をいい感じで解いた人が、クリエーティブ局と言われる広告を企画立案する部署へ配属されるんですよー」、と言って、講演パートへとなだれ込み、僕が作った広告を紹介したのだが、話しつつ、頭に浮かんでいたのがこの冒頭のセリフだった。

「なぜ、自分もみんなも、こういう面白い問題が好きなんだろう?」

ステレオタイプな学校の試験と違う、好奇心をくすぐられ、想像力を掻き立てられる問題。これを改編し、その後、学校現場や企業研修でも使える「変な宿題」プロジェクトを立ち上げることになるのだが、この講演会から、変な宿題を始めるまでに、実はかなり時間が空いている。その間何をしていたかというと、自分の頭に浮かんだこの問いに自ら答えるべく、個人的なリサーチを敢行していた。これはいいな、面白いな、クリエーティブだな、と思う自分の「ストライクゾーン」に入る授業や課題や宿題を収集するリサーチ。これを集めれば、きっと、何かがわかるのではないかと。

リサーチ集にはタイトルをつけていた。その名は「伝説の授業採集」。

期間にして、1〜2年だろうか。プロジェクトを進めながらも続けたから、かれこれ10年近く、メモには事例が溜まり続けている。

そのストックの範囲は広い。日本は東京から地方まで津々浦々。海外はアメリカ、カナダ、ヨーロッパからアフリカも。学校の授業はもちろん、企業研修から家庭の教育まで入っている。現代のも、過去のもある。

人に会うたびに「あなたが受けた伝説の授業はなんですか?」と聞きまくって集めたものもあれば、実際に足を運んだところも多々ある。日本人が好きな、スタンフォードやMIT、イタリアはレッジョエミリアも行ったし、最近流行のミネルバ大学に向けては逆に授業もした。

有名無名も無関係。本質的なものは本質的だし、面白いものは面白い。場合によっては、海外の有名大学よりアフリカのベナンの学校や江戸時代の地元の藩校の教育の方がクリエーティブだ。むしろみんなが知らないものの方が、新しく活用できて価値が高い。大勢が海外のものや有名なものになびいて均質化しちゃっているのが今の日本だから。

教育の講演会などでは、この授業コレクションの触りだけいつも話していた。そしてこの春、宣伝会議のオフィスにて、アドタイの編集者のお一人刀田さんに、僕のプロジェクトについて色々説明する機会があった。その時も少しだけ触れたのだが、そのスライド1枚を彼女は見逃さなかった。「伝説の授業採集」のスライドを。というわけで、この連載が始まる。

凝り固まったこの現代の空気が変わるように。次世代を育むインスピレーションになるように。人々がより面白おかしく生きていくきっかけになるように。

素晴らしい問題や授業を考えた先人たちに、最大限の敬意を表しながら、伝説の授業を、ここにシェアしていく。

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