※本記事は株式会社マスメディアンの『advanced by massmedian』に掲載された記事を表示しています。
尾崎世界観とカツセマサヒコの接点
今回ゲストに迎えたのは、4人組バンド・クリープハイプの尾崎世界観さんとライターで小説家のカツセマサヒコさん。この日が初対面という2人ですが、今年6月に発刊したカツセさんのデビュー小説「明け方の若者たち」(幻冬舎)の帯の推薦文を尾崎さんが担当した、という接点があります。
かねてからクリープハイプの楽曲を聴いたり、尾崎さんの著書を読んだりするほどのファンだというカツセさんは「ようやくお会いできた!」と恐縮しきり。一方、尾崎さんは「まだ帯だけの関係です」と笑いを誘いつつ、「カツセさんの作品にクリープハイプ(の名)が出てこないんですよ(笑)」との思いがけない指摘に、「本当に好きなものって書けない」と照れ笑いを浮かるカツセさん。
とはいえカツセさんによると、露骨にクリープハイプの名は記していないものの、「作中に主人公と彼女がラブホテルに行くシーンがあるんです。その部屋番号は、クリープハイプの『ラブホテル』という曲で、最初に出てくる部屋番号にしていて、そこに僕は“気づいて、尾崎さん!”って思いを込めていたんですよ(笑)」と告白。これに尾崎さんは「それを嗅ぎ取れなかったこっちのミスでしたね。実名を欲しがっちゃいました(苦笑)」と釈明する一幕もありながら、和やかなムードでオンラインイベントがスタートします。
「7割くらいはメロディーの力」(尾崎)
カツセさんのことを世間の人たちが知るきっかけの1つとなったのはTwitterの「つぶやき」。140文字の制限があるツイートは、「強い言葉を用いたり、主語を敢えて大きくしたり、数字を伸ばすための方法はいろいろとある」と言います。かたや小説は、まったくの別物で「何倍もの文字数の世界なので、“書き切るためにはどうしよう”ということから考えなくてはならなかった」と振り返ります。
カツセさんの話を聞いて、尾崎さんは楽曲制作を例に上げ「Twitterが140文字と制限があるのと同じで、メロディー(の尺を歌詞が)超えちゃうといけないから“それだけでいい”という安心感はある。だから、メロディーを書いてから言葉(歌詞)を書いていく。いつも絶対に曲からつくっています。クリープハイプって、けっこう歌詞で注目されることが多いですけど、7割くらいはメロディーの力だと思いますね」と話します。
