「一つになろう」と言いがちな世の中に、広告で主張を展開
権八:2020年のテーマは何だったんですか?
渡辺:そうですね、今すごく言われてますけど、みんなでひとつになるっていうのはちょっと違うんじゃないかと。
権八:(笑)。はいはい。
渡辺:ちょっと疑問がありつつ、みんな違ってみんないいという「未成年の主張」を展開する広告でしたね。500カ所ぐらいですかね、渋谷の至る所にかるた型のポスターをメンバーたち各々で配置させていただいて。あいうえお作文的に。
権八:あいうえお作文(笑)。
渡辺:あいうえお作文じゃない(笑)?
権八:あいうえお作文ではない(笑)。カルタ的にね。
渡辺:カルタ的に主張を展開してもらったという。
権八:メンバー41人それぞれが違った文頭、頭文字というかね。文の頭はひらがな1文字を割り当てられて、各々が何か主張したいことを主張するというね。
渡辺:そうですね。
権八:カルタは一枚として同じものはないので、みんな違っていいんだっていうことを体現するためにカルタ形式にしてやりましたね。ちょっと今そういう世の中の流れというか、「ひとつになろう」「一丸となって~」みたいなことを言われがちな時代というか。ちょっとどうもWACKとしては何か……。
渡辺:僕たちある種、はみ出し者みたいなところがどうしてもあるんで。
権八:ですよね(笑)。
渡辺:ちょっとはみ出してもいいじゃないか、みんな違ってみんないいんじゃないか、っていうことを思っています。
権八:もちろんその、「みんなで一つになるの嫌だ!」っていうのも渋谷駅にデカく掲げても良かったんだけど。実際、もともとそれは予定していたんですよね。「みんなで一つになるの嫌だ!」って。ただこういうご時世になってしまって、渋谷で広告を展開する。つまりファンの人をいっぱい集めるみたいなことも良くないので、あえてね。
渡辺:発言をせず。
権八:発言せず、告知もせず。初めてですよね、告知しなかったの。
渡辺:やっているよって言ったら、嬉しいことにお客さんも行ってしまうというところをやっぱり助長したくなかったですね。
権八:どこまで言うべきか分からないけど、「みんなで一つになるの嫌だ!」っていうのをスローガンにするのもちょっとなーってことで、あえてね。
渡辺:そうですね。
権八:それでも音楽は死ねないっていう。WACKとしての未成年の主張をしましたね。
「それでも音楽は死ねない」-リアルに変わる体験をみんな必死に考えていた
権八:今後どうなってくんすかね?前みたいに復活してくる部分ももちろんあるよね。きっとね。
渡辺:いやー、復活しないとですよねー。けどステイホームの期間中に、気づけたことがいっぱいあったんですよね。わざわざ行く必要なかったじゃんとか、通勤時間がなくなったおかげでちょっと余裕できたじゃんとか。いろいろあると思うんですけど、音楽もやっぱりそういう気づきがあったんですよね。先週話したインターネット上のどこかでリリースする企画なんかも面白かったなぁと思っていて。やっぱりわざわざ行く体験に代わるものはないんですけど、そうじゃなくても楽しめるコンテンツだったりとかを、みんなが必死に考えている状況ってすごくいいなーっていう風には思いました。って、話聞いてないですよね?
権八:ごめん(笑)。あんまり聞いてなかった。
渡辺:(爆笑)。
権八:今日写真撮り忘れていたなーと。やばい!と思って(笑)。なんか今いいこと言っていたっぽいよね。ごめん!
渡辺:(爆笑)。マジで!?今マジで聞いてない顔をしていたんですよ(爆笑)。
権八:ごめん。そういうところある。ごめん!僕本当に良くないね。
渡辺:権八さんね、分かりやすいです(笑)。目を開くの!聞いているよって顔をする。ひどいなー今の(笑)。
権八:いやいやいや、こういう時だいたいね、澤本さんかヒロキくんがフォローしてくれるからいつも助かるんだけど(笑)。
渡辺:(笑)。
権八:でもさ、「それでも音楽は死ねない」ってWACKが宣言するのはいいよね。
渡辺:そうですね。
権八:音楽を代表するってちょっとおこがましいかもしれんけどさ。
渡辺:でも業界の方からも「よかったよ」って言ってもらえることもあって良かったなと。後はまぁ初めてカッコつけたというか。かっこつけていますよね?
権八:そうだね。
渡辺:照れくさいから、これまであんまりかっこいいことを思いっきりいう感じでもなかったじゃないですか。でもある意味かっこつけさせてもらえたというか。無駄にしないようにしなきゃと思いますよね。この“できない”状況っていうか、いろんなものが制限されてしまう状況で、より必死になっている感じがすごくするんですよ。だからそれは良かったなあって。
権八:その必死になっているっていうのは自分が?
渡辺:はい。音楽に対してももっと向き合う感じがするっていうか。それはなんか良かったなーって思っていますけどね。まあ、早く終わってほしいですけどね。
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