おじさんを転がすのが異常にうまい!話題の女流棋士、そのルーツとは?(ゲスト:山口恵梨子)【前編】

独特な将棋の世界、小3の頃から周りにいる人たちはほぼ変わらない

中村:そもそもなんですけど、山口さんが女流棋士になられたきっかけはなんだったんですか?

山口:父がすごく将棋が好きで、大学の将棋部に所属してずっと将棋をやっていたらしいです。そういう父の影響で私も将棋を始めました。それでよく将棋イベントに父に連れていってもらったんですけど、そのイベントで棋士の先生が「10面指し」をしていたんですよ!

中村:何ですか?「10面指し」って。

山口:ひとりで10人を相手にしていたんです。「この人すごいな!」と思って。それで実際に自分もその10人の中のひとりとして教えていただいて。それがすごく楽しくて……。

中村:やっぱり当然のように負けるわけですよね?

山口:それがですね、先生が優しくて、6歳の女の子がやってきたっていうので勝たせてもらったんですよ。

澤本中村:おー!

中村:それは成功体験が!うまいなあ!そのおかげでたぶん、山口さんは……

山口:そうですね。それプラス、棋士の先生が将棋エッセイを書かれていたのをを父の本棚からこっそり読みまして。まあ面白かったんですよ。麻雀打って、映画見て、将棋の対局をやって、みんなで飲んで……みたいな感じで。ほぼ飲んでいる感じのエッセイだったんですけど、なんか面白おかしくて。それですっかりハマりましたね。そっちの世界の住人になりたいなって思いました。

中村:え!?それ何歳ぐらいの時?

山口:それは6歳ですね。

中村:6歳!?

澤本:(笑)。

中村:じゃあ、それからお父さんに「ちょっとやってみたいんだけど」って言って?学校やクラブみたいなところに?

山口:千駄ヶ谷に「将棋会館」っていうのがございまして。

中村:ああ、存じております。

山口:将棋会館で子どもスクールっていう教室をやっていたんですよ。そこに日曜日に通うようになって、その後はそこに通うだけだと強くならないからといって、お家でお父さんと一緒に特訓したり。後は将棋道場っていういろんな人と指す場所に通って、どんどん練習を積んで……という感じで強くなっていきました。

澤本:その将棋道場だと、年齢が近い人ばっかりというわけではないですよね?

山口:年齢は近くないですね。小学生は土日だといるんですけど、私は平日も学校が終わった後に通っていたので、小学生が2、3人しかいなくて。あとはみんな40、50代の男性って感じでした。

澤本:じゃあ学校帰りに、道場で50代とかのおじさんと将棋を指していたのね?

山口:そうですね。でもけっこうしゃべりながら指したりもしていて。どんどん仲良くなるんですよ!

澤本:おじさんと(笑)。

山口:おじさんと仲良くなるって変な感じになっちゃいますけど(笑)。何だろう?かわいがってもらう感じ。「恵梨子ちゃんお菓子あげるよ」みたいな感じで。普通におじさんにお菓子をもらっていたみたいな。いろんな話を聞かせてもらったり。

澤本:へえー。

山口:なんだか本を読んでいる感じで、すごく楽しかったです。

中村:成長して「もう将棋とかいいわ……」みたいになったりすることはなかったですか?

山口:小学5年生で反抗期を迎えた時に、自分が女流棋士になりたいのか、それとも父が女流棋士にさせたいのかって、ちょっと分からなくなって……。受験勉強もあったので、一旦将棋から離れました。平日道場には通っていましたけど、家で将棋を勉強する時間はちょっと減らして、塾の勉強に時間をかけていたんですけど、1年間考えて、小学6年生の時に「やっぱり私は将棋が好きだし、一生の仕事にしたいからやろう」と思って、そこから女流プロ試験を受けはじめました。

澤本:小6で「女流プロ試験」っていうのを受けたんですか?

山口:そうですね。その当時と今の女流棋士の規定が違うんですけども、当時は「女流育成会」というところに入会して、そこのリーグを2回優勝したら女流棋士になれるという制度でした。

澤本:はいはい。

山口:その「女流育成会」に小学6年生の時に入会しました。

澤本:今将棋をやっているプロの方って、けっこう若い方もいるじゃないですか。その頃からみんなこう……ずっと同じ仲間と上がっていくって感じなんですか?

山口:そうです。

澤本:みんな知っているんですか?

山口:全員20年来の知り合いです。

澤本:あ!そうなんだ!

山口:なので本当にかけがえのない仲間ですね。ライバルですけど仲間っていうのがこの世界独特かなって思います。だから小学3年生ぐらいの時から周りにいる人はほぼ変わってないです。

澤本中村:ええ(笑)!

山口:“永遠の学校”みたいなイメージかもしれないです。

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