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コラム

これからのマーケティングはクロスカルチャーだ! ―日本人マーケターが世界で価値を伝えるには?

日本語が母語のネットユーザーは世界全体の2.6% 日本企業が多言語で発信する際に注意すべきこととは?

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中華圏やEU圏向けWebサイト(オウンドメディア)多言語化の注意点

自社の企業情報や、製品やサービスの魅力を、様々なステークホルダーの皆さまに発信したいと考えたときに、Webサイトは重要な発信場所になります。

さて、皆さんの企業のWebサイトでは、何言語に対応しているでしょうか。英語、簡体字、繁体字、韓国語、タイ語…と、世界には実に多くの言語があるわけですが、2019 Web Globalization Report Cardによると、世界をリードしているグローバルカンパニーは、なんと平均32.8言語もサポートしているのです。しかも対応言語は増加傾向にあります。

Byte Level Research「2019 Web Globalization Report Card」より

前述のインターネット上で使用されている言語別ボリュームをみるとお分かりの通り、もし世界のインターネットユーザーの90%以上にリーチしたい場合は、40言語以上の言語をサポートする必要があります。ですから、グローバルカンパニーが自社のWebサイトを30言語以上もサポートしていることには理由があります。

可能であれば、30言語以上対応して世界中の人々に彼らの母国語で情報発信したいところですが、予算や開発期間、人的リソース等の問題で対応が難しい場合も多いかと思います。実際に、多くの日本企業のWebサイトを見てみると、10言語未満が多い印象です。

対応言語を絞らなければならない場合に、英語と中国語(簡体字)は、母語人口の多さから選定される確率が高い言語ですが、中国語(簡体字)に関しては開発時に注意が必要です。

皆さんもご存知の通り、中国本土は政府による規制があり、私たちが日常で使用しているFacebookやInstagram、YouTube等のSNSが閲覧できません。海外企業のWebサイトはトラフィックが多い場合、閲覧の規制対象になる可能性があります。ですから、中国語(簡体字)に対応する際には、該当するサイトが中国本土からアクセスできるかチェックツールを使うか、中国本土にいる方に閲覧可否を確認することが重要です。

中国向けWebサイトが中国本土できちんと閲覧できるか無料で診断できるツール『China Check FREE』

また、Webサイトのトラフィック分析にGoogle Analyticsをお使いの方が多いと思いますが、中国語(簡体字)に対応したWebサイト内には、Google、Facebook関係のタグやコードを入れないようにしましょう。これらのタグが入っていると閲覧ブロックされるときがあるためです(中国本土のトラフィック分析は、Baiduのサービスを使ったりします)。

せっかく中国語(簡体字)ユーザーに情報を届けたいと思っていても、実は「中国本土からサイトが閲覧できていませんでした」や「トラフィックが正確に計測できていませんでした」とあっては、デジタルマーケティングの意味がありませんので、ご注意ください。

他にも、フランス語やドイツ語などEU圏で主に使用されている言語を扱う際(EU圏にいるユーザーからのアクセスを見込む場合)には、個人情報保護に関する法律である一般データ保護規制(GDPR)への配慮が必須です。

これは企業や組織が個人データを処理することについて管理するEU全体の規制で、IPアドレスやCookieのようなオンライン識別子も個人情報とみなし、取得する際にはユーザーの同意が必要になるというものです。2018年に施行されてから3年ほど経ちますが、きちんと対応できている日本企業は1割程度だとも言われています。

グローバル企業のWebサイトにアクセスすると、Cookie利用に関する注意書きのポップアップが画面下部に出てくることが多いかと思いますが、オンラインの世界における個人情報取り扱いには、今後ますます注意を払う必要が出てくるでしょう(違反が発覚した場合、最大で企業の全世界の年間売上高の4%以下、もしくは2000万ユーロ以下のいずれか高い方を支払う義務が発生します。過去には、Googleがデータ収集後の用途開示義務違反などで約62億円の罰則金が科せられてニュースになりましたね)。

少々テクニカルなお話になってしまいました。私や当社の所在がシドニーであることもあり、これまでオーストラリアに関する事例を多く取り扱ってきましたので、あえて別の地域(中華圏とEU圏)を例にお話ししましたが、外国人に向けてWebサイトを多言語化する際には、文字を現地の言語に翻訳するだけではない様々な配慮が必要であることを強調しておきたいと思います。

そのひとつがデザインです。次回の本コラムでは、「郷に入れば郷に従え」のデジタルマーケティングについて解説してきたいと思います。