ぺんてるのソーシャルメディア活用術、ロングセラーに新たな価値を生み出す

同社商品に対する社員の溢れ出る実直な思い。ぺんてるの公式noteアカウントで綴られた記事が、共感を集めた。ロングセラー商品に光を当て、新しい価値を付与する、同社のソーシャルメディアの活用法とは?

*本記事は5月1日発売の『広報会議』6月号の転載記事です。

ぺんてるでは、公式キャラクター「ぺぺ」「ルル」が発信するTwitterを中心に、Facebook、InstagramでのSNS発信を行ってきた。若手でも挑戦できる風土を活かし、声を上げた社員が運用を開始。“中の人”のキャラクターの持ち味を活かした発信は、プレスリリースやホームページとは異なる、いい意味での“ゆるさ” があった。

だが課題もある。「担当者のキャラクターありきの運営は、独自性を持たせやすく親近感がわく一方で、引継ぎが難しく、メディアごとに、言葉や価値観が少しずつズレてしまいます」とブランド企画課 田島宏次長。バラバラだった発信に社としての一貫性を持たせるため、2021年に広報主導へと切り替えた。「これまでは、各媒体で成功事例を積み重ね、知見を集める段階でした。その持ち味や良さを、広報が社の価値観で一貫させるステップに移っています」。

古い商品の価値を掘り起こす

そんな同社のソーシャルメディア活用の特徴のひとつが「ロングセラー商品への価値の付与」を試みている点だ。「リリースでは、新商品や新事業のように、新しい話題を提供することがメインです。しかし、文具は長年愛されてきた商品が数多く存在します。それらに光を当て、今の時代に新たな価値を付与できるのが、ソーシャルメディアだと考えています」。

ロングセラー商品に光を当てる試みのひとつが、2020年にnote上に開設した公式アカウント「シャープペン研究部」だ。

ノック式シャープペン発売から60周年を迎えるタイミングで、「#忘れられない1本」に関する記事を消費者、そして社員から集めた。「not eは特に“好き” や“熱意” が伝わるメディアです。昔の商品に光を当て、懐かしさを共有したり、良さを再発見してもらえる機会になりました」。

特に、社員がリレー形式で行った、シャープペンに対する想いや愛が詰まった文章には共感が集まった。とある社員が、入社のきっかけとなり、今は廃番となったシャープペンに関しての想いを1万5000字超で執筆した記事には、9000以上の「スキ」が付いた。Twitter上でも「泣いてしまった」「久しぶりに手書きで文字を書きたくなってノートを開いた」「サイドノック式シャーペン好きだったのを思い出した」などの熱い共感の声が寄せられ、手書きや同社商品の価値に気づきを与えることにもつながった。

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