コラム

「つなぐ課」でつないだもの

官民連携のポイントは「脚本力」、eスポーツで高齢者の課題解決へ

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【前回コラム】「異色の「つながり」が生んだ、神戸の老舗ベーカリー発「AI特製カレーパン」って?」はこちら

前回は、
・神戸市とヤフーによる事業連携をきっかけに知ったデータの面白さや可能性
・そこから、「データ」×「匠の技」→「AI特製カレーパン」や
・「データ」×「ファッション」→「フラグメントケース」が生まれた話、
・そしてそんな異色のコラボを生みだすマインドセット
……などについてお話しました。

今回はもう1つ、取り組みを発表した際に反響が大きかった事例をご紹介しながら、官民連携のプロジェクトを実現にこぎつけるまでの工夫について書いてみたいと思います。

■1、eスポーツ×高齢者でどんな課題を解決できる?

今年3月に実施した「リハビリモンスターぷよぷよ大会」の様子。©SEGA

神戸市では2020年12月から、NTT西日本等との連携により、コミュニケーションの活性化と健康増進をめざした「高齢者向けeスポーツ実証事業」を行っています。

これは、高齢者同士あるいはそのご家族(お孫さんなど)とでeスポーツを一緒に体験することで、「フレイル」の予防につながる可能性があるのかを、日常のバイタルデータを蓄積しながら検証するものです。さらには新たなコミュニケーションツールとして成立するのか、またITリテラシーの向上と健康増進に寄与できるか、といった観点でも期待をしています。

心拍数の変化を可視化し、戦況とプレイヤーの緊張度の相関を測った。©SEGA

みなさんは「フレイル」という言葉をご存じですかか?
年齢とともに筋力や心身の活力が低下して介護が必要になりやすい、健康と要介護の間の虚弱な状態のことです。コロナ禍によってそのリスクが高まっていると指摘されています。2020年の後半、実際に私もつなぐ課としてのヒアリングをする中で、各所からそれを心配する声が聞こえてきていました。

フレイルに対処するには、その状態に早めに気付き、対策の3つの柱である「社会参加」「身体活動」「栄養(食・口腔)の摂取」に取り組むことが重要です。そうすれば元の状態に戻れる可能性もあるため、いかに安全かつ効率的に対策をするかポイントとなります。

そこで私が注目したのが、eスポーツでした。

実はその1年ほど前から海外での事例などを通じてeスポーツの可能性を感じ、行政分野で活用できないか考えていました。当初は地域の活性化・にぎわいづくりに活用することを想像していましたが、行政のプロジェクトとする以上は社会課題の解決に結びつけられるプロジェクトにしていきたいと思うようになりました。

そんな中でコロナ禍となり、先ほどのフレイルへの懸念がこれまで以上に高まっていることを知りました。今こそeスポーツの活用のチャンスなのでは…?と、早速eスポーツと高齢者の方々を「つなぐ」場を設けることにしたわけです。

次ページ 「2、コロナ禍のデジタルデバイドの解消に活用」へ続く

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