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木下富美子都議会議員は2021年7月に行われた都議会議員選挙の選挙期間中に無免許運転で人身事故を起こしました。これが投票日翌日に報じられたことで、「投票日前に明らかになっていれば当選しなかったはずだ」「都民を騙して当選した」などの批判の声がSNSに集まり、辞職を求める声も目立ちました。
本来であれば、この時点で無免許運転をしたことを素直に認めて、黙って当選したことが潔くなかったと頭を垂れて辞職するのがスジです。ところが、それをしなかったために、木下都議の辞職を求める声が高まることになりました。タイミングと対応を見誤ったことが危機管理を失敗した最大の原因です。
木下都議が挽回するチャンスは何度もありました。都民ファーストの会から除名処分を受けた時点、7月に1回目の議員辞職勧告決議が全会一致で採決された時点、9月に書類送検された時点、2回目の辞職勧告決議が全会一致で採決された時点などです。
その後も木下都議は体調不良を理由に都議会を欠席するなどしていたため、世の中からは「辞職をしないのは報酬を得ることが目的だ」などという新たな批判を集めることにもなりました。すべてが悪手でした。世の中の声は潔くない人を許しません。非が明らかなのに非を認めない人は容赦なく叩きます。こうなると、危機管理として打てる手は、後手ではありますが、平身低頭謝罪をし尽くしたうえでの辞職以外に道はありません。
ところが、ここでも木下都議は選択肢を間違えます。
11月9日に都議会から三度目の召喚を命じられた際に初めて公の前に姿を見せ、立ち姿のまま一度目の記者会見をしました。その際、議員報酬3カ月分はNPO法人に寄付したなどと報酬目的で議員にしがみついているとの批判に答える説明はしたものの、「辞職を求める声があるのは承知している」とした上で、「批判を受ける一方で続けてほしいという声があるのも事実」と議員辞職を拒絶したのです。無免許運転で人身事故を起こしたことを黙ったまま当選したから辞職せよという本来求められている部分には何も答えていません。