※本稿は広報会議2022年3月号の「広報担当者のための企画書のつくり方入門」をダイジェストで掲載します。
コロナ禍における新しい周年事業
社長や上司から突然「創業○周年の記念行事は何か考えているのか?」と聞かれて慌てたという声を聞く。帝国データバンクの調査[全国「周年記念企業」調査(2022年)]によると、2022年に創業から節目の年を迎える「周年記念企業」は全国に13万5425社。このうち代表者(社長)の持ち株比率が51%以上のオーナー企業は9546社。また「100周年」を迎える企業は日本全体で1065社にのぼる。
何らかの形で周年事業をやらなければいけないが、何をどうしたらよいか分からない広報担当者も多い。また現場担当者からは「周年事業は社内行事の要素が強いだけに立案の段階からは外部リソース(代理店等)を活用しにくい」という声もある。こうした声を踏まえ、今回はコロナ禍における新しいタイプの周年事業の企画について考えたい。
周年事業とは何か?
周年事業とは、元々は企業にとっての“節目”となる年に、これまで事業を継続してこられたことを記念し、社員や関係者と共に祝う「お祝い行事」の意味合いが強い。このため「社内向け」の記念事業としては、社員を労うことが中心となるため、場合によっては社員の家族を招いたり、これまで会社に貢献してきた定年退職した元社員を招いた行事を行ったりする。一方で、最近では周年事業のタイミングで、新商品のプロモーションや自社のリブランディングを行ったり、コロナ禍で失われがちな社内外のコミュニケーション活動を推進したりしている。社外に向けた「周年キャンペーン」がメインの企業も少なくない。
なぜ周年事業が必要か?
社内活動という意味では、現在の社員や過去の社員など会社を支えてきた関係者に対して創業者や経営陣が“感謝の意”を伝え、「未来に向けて一緒に頑張ろう!」とメッセージを伝えることが第一の目的だ。同時に、これまでの自社の歴史を振り、今後はどのような企業価値を生み出していくのか社内共有するための行事でもある。普段はなかなか意識することが少ない「経営理念」「将来ビジョン」を社員一同が改めて共有することで「コーポレート・アイデンティティ」(CI)を高める機会となる。