「効果が見える広告メディア」としてコロナ禍にも関わらず2021年には出稿が回復
そもそもニューステクノロジーが「GROWTH」をローンチしたのは2019年。同社がベクトルグループの一員としてクリエイティブやデジタルマーケティングの事業を行っているなかで、ベクトル北京支社の立ち上げを担っていた三浦氏が2018年に代表に就任。タクシー事業者との合弁企業であり、タクシーアプリを運営する「S.RIDE」との共同事業として、都内にフォーカスしたタクシー車内のサイネージを立ち上げようとしたことがスタートだ。
そこから一気に事業を加速させ、現在は東京都最大数の1万2500台、月間820万人にリーチするメディアとして、タクシー利用者にとっては身近な存在になっている。
「タクシー利用者は、80%以上が都内で活躍する経営層・会社員です。しかも月の利用頻度が11回を超えるユーザーが約30%もいるなど、特定のターゲットに対して、極めて有効な広告メディアとして認知されています」(三浦氏)
ローンチ後の広告出稿は順調に推移していたが、2020年にコロナ禍の影響を受けて広告出稿数は減少。しかし2021年には大きく回復した。「都内利用者の特徴としてビジネスパーソンが多いのは変わらずだが、エグゼクティブ層や意思決定層がコロナ禍で増加した。リモート勤務が広まる中でも、この層はビジネスシーンを中心に移動が生じているという印象がある」(三浦氏)
また、月に3回以上タクシーを利用する方(ミドルユーザー)が増えており、タクシーサイネージ情報の接触頻度が高まり、より深く情報を届けられる環境になっているという。
「コロナ禍になり、多くの企業は事業に影響があったと思います。限られたマーケティング予算の中で、コロナ禍でも決裁者を含むビジネスパーソンに効果的かつ効率的に情報を届けることができるオフラインメディアとして、タクシー広告の特性や費用対効果が注目されました」(三浦氏)
タクシー広告を含めたOOHの魅力は、スマホとは異なる“偶然の出会い”
タクシー広告を含めたOOHについて、三浦氏は「SNSなどスマホに表示される広告と大きく異なり、パーソナライズされていない点こそ魅力」と考えている。利用情報取得の規制は強化されたものの、SNSを含めたスマホ広告はパーソナライズされるため自身の興味が高いと思われる広告は表示されるが、一方で偶然の出会いのようなものは失われてしまう。スマホで情報と接触するのと、屋外広告で情報と接触するのでは、インパクトやユーザー体験が異なる。また、特定のターゲットに届けられることが明確になっているからこそ、広告メディアとしての価値があるのだという。