【前回コラム】『窓辺にて』の脚本は、僕の心の奥底をわかっている感じがした(稲垣吾郎・今泉力哉)【前編】今回の登場人物紹介
※本記事は2022年10月30日放送分の内容をダイジェスト収録したものです。
断罪される浮気や不倫にも、いろんな感情があるはず
中村
:来る11月4日に公開となる映画『窓辺にて』。これは、ざっくり言うとどんな映画なんでしょうか?
今泉
:はい。稲垣吾郎さん演じる市川茂巳という男は、元々小説を一冊だけ書いて今はフリーライターをしているんですね。それで彼の奥さんが不倫をしていて。それに主人公は気づいてはいるんだけど、そんなに大きな感情が自分の中に沸かなくて。ということは、愛情があるのかないのかと悩んだり、そうした悩みを誰に相談すべきなのか、ということでも悩んでいく、みたいな話で。その「感情の動かなさ」にショックを受ける、みたいな、ちょっと複雑な設定ではあります。元々は、奥さんが浮気とかした時、自分は怒ったりできるのかな?と僕自身が思ったことが着想になっていまして。
稲垣
:不思議な映画でしょ?これを聞くと。どんな映画かわからないよね?
権八
:あはははは!でも、めちゃくちゃ面白かった。
稲垣
:夫婦とか恋人とか、いろんな男女の登場人物が出てきて。なんか、みんなフワフワしているんですよね(笑)。
一同
:(笑)。
今泉
:そう、浮気とか不倫があちこちで起きていて。今は、不倫とか浮気があまりにも断罪されるというか……。もちろん、良くないことなんですけど、「消される」ぐらいの勢いが、自分の中ではちょっと。その中にもいろんな感情があるはずなのに、とか思ってしまうんですね。そういったことが「悪」とされるのは、その時間がすごく楽しいとか、イチャイチャしてる、とみんなが思っているからだろうな、と思っていて。実は、その時間の中にも、罪悪感とか、なんなら浮気相手の側にしてみたら、純粋な片想いだとか、いろんな感情があるはずなのに。それを「はい、これは絶対にダメ!」といって終わらせるのは、どうなんだろう?と思って描いた話でもありますね。
