【前回コラム】「家に置きたくなる」書籍が見つかる、台湾発書店/誠品生活日本橋
アイデアの宝庫である書店で働く書店員の視点から、他店との差別化の工夫や棚づくりのこだわりを紹介する本連載。さまざまな思いを書店員が語る。今回は、ビジネス書の専門店「天狼院書店 STYLE for Biz」(東京・池袋)の店長・永井聖司氏にインタビュー。本だけでなく、その先にある体験までも提供する次世代型書店をコンセプトとし、2018年に開店した。コンセプト通り、イベントの開催などを通じて顧客との交流を深め、新しい書店の形を目指している。
コンセプトは「“本”だけでなく、その先にある“体験”までを届ける」
――講座などのイベントや、渋谷の店舗ではカフェを併設するなど、書店でありながら他の業態を展開されています。
天狼院書店全体としては2013年に、初となる店舗を池袋に開店しました。現在は渋谷エリアなどに全10店舗を展開しています。以前からビジネス書の専門書店を開きたいという思いがありました。街やテナントに合わせて、店舗の形を変えていくことが天狼院書店の特徴です。STYLE for Biz店の入るビル内に、客層が重なる男性向けのショップが入店していたことも開店理由のひとつでした。
「本」だけでなく、その先にある「体験」までを届けるというコンセプトを掲げています。全国に数多くある書店のひとつとして天狼院書店をどう活かせるかと考えた結果、カフェやイベントなどクリエイティブな体験の提供を試みました。
店舗に陳列している書籍から情報を得ることはもちろんですが、読書だけでは得られないアイデアもあると思います。そこで講座受講を通じて、本を読む以上の成果を届けたいという思いのもと開催しています。私自身も、文章力を磨く講座に長期的に通ったのち、スタッフとして入社しました。そういう意味でも、講座から得られたものは大きいかもしれません(笑)。
お客さまが一目で理解できる棚づくりを
――永井さんの選書のこだわり、棚づくりの工夫を教えてください。
選書のために月に1回、出版社の方との打ち合わせを行っています。その場で、当店に合う書籍かどうかと熟考し、版元さんからの提案を検討しています。
