従業員の行動を促すボトムアップの働きかけ パーパスの運用に広報は何ができるか

自分が所属する組織と自分の仕事に熱意を持って自発的に貢献しようとする従業員の意欲「従業員エンゲージメント」。
 

その向上のために広報は何ができるのか?「従業員エンゲージメント向上プロジェクト」第7回では、13社15名の広報担当者と専門家が集まり意見交換を行いました。

※本レポートは

広報会議2023年3月号

より転載しています。

 

グループディスカッションでは、パーパスなど経営メッセージの浸透度を上げるために実施していることについて意見交換した。

従業員エンゲージメント向上プロジェクト第7回は、エン・ジャパン、オムロン、GMOペパボ、ジャパネットホールディングス、スクウェア・エニックス・ホールディングス、セコム、ニッスイ、パーソルホールディングス、八代目儀兵衛、ハピネット、ファクトリージャパングループ、堀場製作所、ゆうちょ銀行(五十音順)の広報関連部門の担当者が集まりました。

ゲストスピーカーには、コーポレートブランディングの戦略策定からクリエイティブまで一気通貫で支援する揚羽の黒田天兵氏を迎え、またボードメンバーとしてインターナルコミュニケーションに特化した制作・コンサルティングを行う産業編集センターが参加しました。

組織変革の3ステップ

今回のテーマは「従業員の行動を促すボトムアップの働きかけ、パーパスの運用に広報は何ができるか」。揚羽の黒田氏は、組織変革について研究する中で、次の3つの順番、仕組みが整えば「インターナルブランディングの力によって組織は再生、変革し続けることができる」と解説しました。

ひとつ目のステップは「言葉づくり」。組織が何のために存在し、どういう状態を目指し、過去から培ってきた強みは何かという言葉の策定です。

組織におけるメッセージには大きく7種類あり(図1)、昨今は、「なりたい姿」や「社会・顧客に提供する価値」を整理し「パーパス」として策定したり、企業が大切にしている価値観を「組織文化」としてまとめたりすることに注目が集まっています。

図1 組織の軸となる、従業員の共感を生む言葉 出所/揚羽

「組織にとって“よい言葉”とは、❶その組織のらしさ・強みをはっきりと浮かび上がらせることができ、❷組織が進む道を示し、迷ったときの判断基準になってくれます。❸従業員が、そこに所属する理由にもなり❹世の中の思いと共振できます」と黒田氏は解説します。

一方で、メッセージが組織に存在していても浸透しないケースも多くあります。そこで必要なのが、3ステップのうちの2つ目「浸透活動」です。パーパス策定後、「従業員がパーパスを認知・理解・共感しているレベル」、さらには「従業員がパーパスを体現するような行動をとり、定着できているレベル」へと引き上げる仕組みを整えていきます。

次のページ
1 2 3
この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

この記事を読んだ方におススメの記事

    タイアップ