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積水ハウスが「男性育休フォーラム 2023」開催 男性育休推進の先に見据える社会とは?

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積水ハウスは、9月19日に「男性育休フォーラム 2023」を開催した。同社では9月19日を「育休を考える日」記念日に定めており、例年フォーラムおよび「男性育休白書」の発表を行っている。

冒頭で挨拶した仲井嘉浩社長は、2018年にスウェーデンを訪れた際に「ベビーカーを押している人の大半が男性だった」ことに衝撃を受け、プロジェクト発足に至ったと紹介。日本の男性育休取得率は最新の厚生労働省の最新の調査で17.13%で(従業員1,000人超企業では46.2%)となり、過去最高を記録した。「このフォーラムが一定の役割を果たしたのではないかと嬉しく思う」と自信を覗かせた。

人物 写真 仲井嘉浩氏
積水ハウス 代表取締役 社長執行役員 兼 CEO 仲井嘉浩氏

続けて、同社 執行役員 ダイバーシティ推進部長 山田実和氏が「男性育休白書 2023」について発表。企業で働く男性の育休取得の実態を探る目的で2019 年から毎年発行し、今年で5年目になる。全国の小学生以下の子どもを持つ 20~50代の男女9400人を対象に調査している。

人物 写真 山田実和氏
積水ハウス 執行役員 ダイバーシティ推進部長 山田実和氏

同白書によれば、男性育休の取得実態は5年間で大きく向上。男性の育休取得率は2023年は24.4%と5年間で約2.5倍に増加、男性の育休取得日数も23.4日と5年間で約10倍に増加した(厚労省の調査に比べて取得率が高いのは、同社調査が約1年先の状況を反映していることによる)。「育休を取得したい」と考える男性も、5年間で約10ポイント増加した。職場で仕組みやルールが改善される企業が増えたことで、「育休取得男性の育休取得時の「不安」」も、5年間で約7ポイント低下(改善)したという。

グラフ その他 男性育休の取得実態は5年間で大きく向上

積水ハウスは男性育休のリーディングカンパニーとして、3歳未満の子を持つ社員を対象に育休の取得を可能にする、1カ月以上の完全取得、4分割しての取得を可能にするなど、先進的な推進制度を作り上げてきた。いまでは「男性育休取得100%」を誇る。同社社員への調査では、「男性の育休推進や取得者の増加で、どのような変化を感じますか?」という質問に対して、「周囲の幸せに目を向けられるようになった」「自分の人生を幸せに生きることに、目を向けられるようになった」など、自分の働き方や生き方を考え、周囲の配慮にもつながっている様子が見られるという。

グラフ その他 男性の育休取得推進・増加による変化

後半で行われたパネルディスカッションには、ファザーリング・ジャパン代表の安藤哲也氏、男性育休を社会学の目線から研究する甲南大学文学部の中里英樹教授、仲井嘉浩社長が参加し、ジェンダー問題の識者で東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授の治部れんげ氏がモデレーターを務めた。仲井社長からは、2023年時点で同社では1778名の男性社員が育休を取得したが生産性には影響が出ていないこと、中里教授からは自身が監修した本年度のプロジェクトムービーの舞台裏などが語られた。1960年代から2020 年代までの父親像を振り返る映像で、特にこだわったのは、2020年代に「女性が外に出ている間に、男性が家で1人で子どもの面倒を見ているシーン」を入れることだったという。

本年度のプロジェクトムービーとして制作された「【昭和・平成・令和】いままでの父親、これからの父親。 #育休を考える日」

安藤氏からは、他社の最新取り組み事例の共有や、男性育休の仕組みを持つことが来たる大介護時代への備えにもなる、と指摘があった。

最後に、「男性育休が当たり前の社会にしていくには何が必要か?」という治部氏からの問いかけに対し、「その企業の実態に応じて制度を独自に考えることが一番大事だと思う。積水ハウスでも子会社がいくつかあるが、子会社には積水ハウスと同じやり方は強制していない。同じグループであっても親会社・子会社で制度が違ってもよい」(仲井社長)、「会社だけではなく、当事者の意識の変化も必要。会社が取れと言うのではなく、本人が取りたいと思わなければ広まらない。そこは自治体の働きかけなども重要ではないか」(安藤氏)、「男性が子育ての主たる担い手になれるのだ、という意識を社会が持つことが大事」(中里教授)とそれぞれの視点からの回答が寄せられた。

同社では、2023年8月より、社員のキャリア自律の促進の一環として、新たにキャリア支援休業制度も開始した。子どものケアをしながら安心して仕事ができる「子どもサポート休業」や、学び直しのためにまとまった期間を確保したい社員が利用できる「キャリア自律休業」の整備、運用を始めている。

写真 人物 複数スナップ 左から、治部れんげ氏、中里英樹教授、安藤哲也氏、仲井嘉浩社長
左から、治部れんげ氏、中里英樹教授、安藤哲也氏、仲井嘉浩社長

「男性育休は、キャリアやライフスタイルを自律的に考えることにつながる」と仲井社長。「家族の幸せ、子どもの幸せを自律的に社員が考える、それを会社がいかにサポートするか。そのとっかかりとして男性育休があると考えている」と締めくくった。

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男性育休推進プロジェクト「IKUKYU. PJT」に賛同する企業は、昨年より38社増加の119企業・団体に
男性育休推進プロジェクト「IKUKYU. PJT」に賛同する企業は、昨年より38社増加の119企業・団体に。