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「広報と広告の新たな関係」 日本広報学会、研究発表全国大会開催

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日本広報学会は10月14日、15日の2日間にわたり、東京都八王子市の多摩美術大学で第29回研究発表全国大会を開催した。対面開催を基本としつつ、オンラインでの視聴も可能とした。

写真 第29回研究発表全国大会の様子

研究発表全国大会は、年に1回開催しており、毎回統一論題を設けて、基調講演、パネルディスカッションなどにより議論を深めている。また、会員の応募者から自由論題を含めて発表を行い、意見交換をするなど、情報交換・交流の場としている。

「広報と広告」の関係を、様々な立場から考察

今回の統一論題は、「広報と広告の新たな関係~クリエイティビティの視点から~」。14日の午前に行われた基調講演では、日本マクドナルド広報部 部長の眞野昌子氏と、博報堂執行役員/博報堂ケトル クリエイティブ・ディレクターの嶋浩一郎氏が登壇。眞野氏は広告主として、嶋氏は広告会社として、それぞれの立場で広報と広告の新たな関係について語った。

午後から実施されたパネルディスカッションには、眞野氏、嶋氏に加え、青山学院大学教授であり日本広告学会副会長の芳賀康弘氏、南山大学教授の川北眞紀子氏が登壇。モデレーターは日本広報学会の本大会実行委員長であり、多摩美術大学教授の佐藤達郎氏が務めた。

パネルディスカッションの中では、「『広告』は売上、利益を上げることが目的となるケースが多いが、『広報』の最終的な目的とは?また、その成果はどのように測るのか?」といった問題提起から、「第三者との“合意形成”」を得意とする広報・PRの強みについてなど、多岐にわたる議論を展開。カンヌライオンズ PR部門の受賞作品や海外企業の広報に見る、グローバルにおける広報の潮流なども話題に上がった。

写真 5名によるパネルディスカッションの様子
5名によるパネルディスカッションの様子。

「広報の定義」発表後の取り組み

パネルディスカッション後は、上智大学 准教授の国枝智樹氏から、日本広報学会が6月20日に発表した「広報の定義」について、その後のプロジェクトの進捗報告が行われた。

スクリーンショット 日本広報学会が6月20日に発表した「広報の定義」

発表後、プロジェクトでは「広報の定義」のメディア露出による認知の拡大や、日本広報学会法人会員への訪問時に議論を行うことで共通認識の形成を図っている。会員からの反応は、「『経営機能』を言い切ってもらえたことはありがたい。あとは私たちがこの定義を有効に活用したい」といったポジティブな意見や、「定義を決めて、それですぐに地位向上というほど甘くはない。今後の議論、活動が重要になってくる」といったこれからの活動への期待が寄せられた。

「広報の定義」プロジェクトでは今後、他団体とのシンポジウム開催、日本広報学会が発行する学会誌『広報研究』への原稿掲載、最終報告書の発行、ワークショップの実施といった取り組みを行っていく予定だという。

第18回「日本広報学会賞」贈賞

14日のプログラムの最後には、第18回「日本広報学会賞」の贈賞が行われた。日本広報学会賞は、会員のすぐれた学術研究および教育貢献を表彰するもの。

今回、「優秀研究奨励賞」は、川北眞紀子氏、薗部靖史氏による著書『アートプレイスとパブリックリレーションズ ―芸術支援から何を得るのか―』が受賞。「研究奨励賞」は、国枝智樹氏、岩澤康一氏による「ロシアのウクライナ侵攻に対するPR業界の初期対応 ―声明と報道に基づくPR産業分析―」と、田端洋氏、松下光司氏による「革新的な製品の欠陥が企業への態度に及ぼす影響 ―企業イメージと製品イメージの一致による交互作用効果―」の2組が受賞した。

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写真 「優秀研究奨励賞」贈賞の様子
「優秀研究奨励賞」贈賞の様子。