日本広報学会は6月20日、「広報の定義」を発表した。広報業務の高度化、複雑化を受け、改めて「広報」に対する共通認識が求められていることを背景に、同学会では2021年「新たな広報概念の定義」プロジェクトを開始。研究者・実務者への調査をふまえ、約2年かけて広報の定義とその解説をまとめた。定義文は以下のとおり。
本定義では、広報の「主体」を広く捉え「組織や個人」としているのが特徴。従来、広報は組織が担い手であったが、メディア環境が激変し、オウンドメディアやSNSを活用して、個人が事業目的で広報することも可能になっているためだ。
また広報の「目的」を「関係の構築や維持」ではなく「目的達成や課題解決」とした。広報の目的は幅広く、認知の獲得や売り上げの向上、採用計画の実現、失われた信頼の回復など多岐にわたっている。
そして広報を「経営機能」のひとつと位置づけた点にも注目したい。経営機能とは、継続的・計画的に事業を遂行するために必要な役割であり、企業経営においては、人事機能、マーケティング機能、販売機能、財務機能などと並ぶのが広報機能としている。
今年は、1923年にエドワード・L・バーネイズが『世論の結晶化』を出版し「パブリック・リレーションズ」の概念を紹介してから100年が経つ。同学会が「広報」を定義するのは、1995年の設立以来、初めて。
「新たな広報概念の定義」プロジェクトを推進した柴山慎一理事長(社会構想大学院大学教授・写真左)と国枝智樹 上智大学准教授(同右)は、この定義について「今後の広報のあるべき論の議論のスタート台にもなりうるもの」と説明。「学術領域における広報研究に加えて、広く実業・実務における広報の役割を確認・展望する一助としてほしい」とした。
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