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コラム

デジタルマーケター、校長になる!

学校の部活動で養うアントレプレナーシップ!? 高校バスケ部に見る「OODAループ」マネジメント

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下妻一高の強みは文武両道の校風にあり!

2024年、初めてのコラム記事の更新です。

私が花王のDX推進の担当から、茨城県の下妻一高の副校長に就任してまもなく1年が経とうとしています。大企業においてイノベーションを起こすような仕事に必要だと感じていたアントレプレナーシップ精神を、学校教育にも取り入れたいという思いを抱いたことが教育業界に飛び込んだ理由です。

そんな志を持って赴任してきた本校で目指しているのが、学習と部活動の両立、文武両道の校風の醸成です。これは下妻一高のブランド力の源泉を分析していくなかで、文武両道の校風が強みとして浮かび上がってくるのではないかと考えた末のことでした。

今回はそんな下妻一高の文武両道のモデルケースが出てきたので、紹介したいと思います。今回はウィンターカップ初出場で、ベスト16まで進出した「バスケットボール部」を紹介します。バスケットボール部はウィンターカップでの大活躍に加えて、学校内でも成績上位者が数多く所属し、有名大学に進学する生徒がいる部活です。勉強も部活も一生懸命に取り組んで、輝かしい成果を残していて、まさに学校の看板になっています。

写真 人物 複数 茨城県下妻一高 バスケットボール部 試合

バスケットボール部の躍進の背後にアントレプレナーシップ教育

このバスケットボール部の運営は、私が目指すアントレプレナーシップ教育を推進する学校経営に近いものがあったので今回、バスケ部顧問の木村先生に、いろいろと話を聞いていてみました。

バスケ部の練習は1日3時間程度、休日もまる一日を練習に費やすことはほぼないという環境で、この躍進を成し遂げています。生徒には余暇の使い方や、タイムマネジメントの仕方を学ばせており、やらされるのではなく、自ら考えて動くことを意識させていると木村先生は言います。

またチームスポーツであるバスケットボールの特性上、生徒主体のチームマネジメントが実現できるよう、普段の練習から心がけているそうです。例えば、練習中のプレーで問題が起きると、そのたびに練習をストップし、生徒たちで起きた事象に対して徹底的に話し合いの場を持たせます。長い時には30分を超えるぐらいまで話し合い、自分たちで解決策を考えます。

これは、私が花王時代に実践してきたOODA(ウーダ)ループのマネジメントに近いと思います。「ウーダ」とはObserve(観察)、Orient(方向づけ)、Decide(意思決定)、Act(行動)の頭文字を取った略称で、PDCAサイクルに類似した意思決定・行動のためのフレームワークで、変化の速い状況において強みを発揮する手法だといわれています。

木村先生の指導は、解決するためのヒントは与えるけれど、決めるのはあくまで生徒というマネジメントスタイルをとっています。トップダウン型からボトムアップ型のマネジメントスタイルで、目指すべき姿は、監督不在でも生徒が自ら作戦を考えて試合をして勝利をつかみとることだといいます。

写真 人物 複数 茨城県下妻一高 バスケットボール部 試合

この現場起点での進め方は、前職でも同じことです。今回の初戦の相手は1年生が多いチームだったことから、チームメンバーの特性を把握しきれず、戦略立案は苦戦したようです。

そこで個々のメンバーの特性がわからなくとも、まずは創部1年目ながらインターハイで全国大会初勝利をして話題になったという相手チームの実績を踏まえて、「チャレンジ精神」で臨んだと言います。結果的には意地とプライドが勝り、伝統校ならではの経験=力を発揮して勝利をつかみ取ることができました。相手の実力を謙虚に認め、「チャレンジャーとしての姿勢」というマインドセットを設定できたことが大きかったのかもしれません。

また、選手それぞれが自分の役割をしっかりこなしながら、チーム全体のことを考えて動ける、個々の「判断力」や「実行力」が兼ね備わったチームも強みです。怪我に見舞われて、限られた時間しか出場できなかった選手の分まで活躍した選手も、地元のメディアなどで多数取り上げられていました。

常に相手の立場を考えて、誰かが抜けたときの想定をして練習を重ねないと、全国大会の大舞台では発揮でないはずで。この背景にあるのは、「自分の特徴の活かし方」や「自分の生き残り方」を常に意識してチーム作りをしていることだと思います。マーケティングでいうと、自分自身の部活動における、ポジショニングの取り方が重要だということですね。

メンバー一人ひとりのスキルや経験を最大限に活かし、それぞれの特性にあったポジションの埋め方=チーム作りは上手で、チームビルディングがしっかりできていると感じています。

木村先生は「バスケットボール(部活動)は生活の一部であり、生活のすべてになってはいけない」という考えを持っているといいます。中学時代に全国大会に出場した経験を持つ双子の選手が、地元の県立高校である下妻一高を選んだのはそんな学校の気風にひかれた経緯があります。やらされるのは嫌いだけど、自らやるのはいい。この志望理由こそ、本校が目指す独自のポジショニングを築く為の、重要な顧客の声だと思いました。

このバスケットボール部の活動は、まさにアントレプレナーシップ教育の一環だと思い、この価値をどのようにPRやマーケティング活動をしていくかが、私の腕の見せどころかもしれません。

私はアントレプレナーシップ教育を通じて、生徒の以下のような力を身に着けることがでると考えています。

  • 1.自分で考えて、自分で行動できる
  • 2.新しいことを自分で考えることができる発想力を持つ
  • 3.失敗を恐れず、新しいことにチャレンジできる
  • 4.自分の考えをしっかりと伝える事ができる
  • 5.精神的に安定し、友人と良関係を築ける

このような力を身につける手段が、部活動である気がします。

そして深い学びを実現する妻一授業カリキュラムで「認知能力」を高め、部活動を通して「非認知能力」を高める、その両輪があることが、本校の特徴だと思います。

私は、これからの社会を生き抜くために必要な能力を身につけるための学校経営を意識して、差別化されたポジショニングをとることを考えて行いきたいと思います。取るべきポジショニグが決めて、本校に入学して欲しい生徒のターゲティングと、4PのPR活動へつなげていきたいと思います。

今回のウィンターカップでのバスケットボール部での大活躍は、私にとって大きな気づきになりました。

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