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コラム

デジタルマーケター、校長になる!

民間から移籍し校長になって1カ月、始業式の校長講話で生徒に教育方針を話す

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きれいにする行為は、空間・身体をリセットして新たな未来を迎えるきっかけになる

民間企業から茨城県の下妻一高に移り、今年4月から学校長に就任して1カ月が経ちました。

学校長としてあらゆる場面や様々な関係者に対して、学校経営の方針や自分の考えを話す機会が多いのが新年度のスタート時期。3月末まで走り続けて、4月に入ってすぐさま新体制にガラッと切り替わるのは学校の特徴かもしれません。

陸上のリレー競技に例えると、走りながらバトンを渡される感覚に近いものがあります。

そのバトンを受け取って、職員会議、離任式、始業式、入学式と大きな学校行事が立て続けにやってきます。今回は、始業式について書きたいと思います。

昨年、副校長として校長職の仕事をそばでしっかり見させてもらいましたが、いざ自分でやるとなると、勝手が違うものです。皆さんもそのような経験はお持ちではないでしょうか。

始業式は、新高校3年生、2年生に加えて、新中学3年生、2年生の在校生に向けて、今年1年の学校生活についてお話しする最初の機会です。教職員に対しては、4月の職員会議で「今年度の教育方針」についてお話しましたが、生徒に対して話したのは初めてです。

今までの私の経験や今回の民間校長登用の目的などを再度確認し、4月8日の始業式に挑みます。特に意識したのは、自分にしか伝えられないことや、今までの経験を活かした内容をもとに生徒へのメッセージを出すこと。できるだけ、今起こっている社会問題や時事問題の実例を出しながら、校長講話をお話ししました。

まず始めに、私が花王時代に様々な先輩方や上司に教わったことを、学校生活に置き換えてお話ししました。花王はまだ日本が衛生環境も悪く、病気も多かった時代に、「清潔な生活ができれば世の中が良くなる、舶来品に負けない品質の良い石鹸を作ろう」という思いで、「清潔な国民は栄える」を社是に事業を始めました。

1890年に花王石鹸を発売して以来130年間、洗浄製品の開発と提供を通じて清浄文化の発展に貢献したいと考えて、「きれいにする行為は、空間・身体をリセットして新たな未来を迎えるきっかけになる」という日本における普遍的意識を確認しています。

この研究成果は「日本民俗学会第71回」(2019年10月12~13日、茨城県つくば市)にて発表していたので、つくば市に近い本校(下妻一)においても身近なこととして感じてもらえるだろうと思い、紹介しました。

この考えをもとに私が生徒に伝えたかったことを、以下の2点に落とし込みました。
1、自分の身の回りはきれい(KIREI)にしてください
(身だしなみ、制服、教室、机の中、ロッカーなど)
2、学校内を清潔に、かつきれいに使うことを心がけてください。
「新たな未来を迎えるきっかけ作りをして行きましょう」という生徒たちへのメッセーです。

本校は、今年で127年を迎える伝統校です。校舎を清潔・きれいに使えば、アンティーク感をだした、深みのある校舎として、他の学校とは違う価値が出せると思っています。学校校舎の古いというネガティブな意見を、ポジティブに変換して、新たな価値を創造していくことは、これからどんな分野でも必要なスキルでもあります。

私はまず学校生活環境で大切な部分である、校舎のところから実現していきたいと考えました。この話を聞いていた華道部の顧問の先生も賛同してくださり、自分の得意分野を活かして学校の昇降口や校長室につながる廊下のコーディネートにご協力いただきました。おかげさまで、学校の顔となる入り口がとても明るくなりました。生徒たちの評判も上々で、先生が率先して改善してくれると、生徒にもよい見本になり、学校全体への周知徹底が進むので嬉しい事です。4月は校長室への来客が多いので、来客される方からも「学校の雰囲気が明るくなりましたね」を言われる機会が多くなったことを嬉しく思います。

華道部の顧問の先生の協力により、学校内が明るくきれいに。

このように、私の民間企業で学ばせてもらった経験と、教育業界のプロである教職員と力を合わせて、学校経営をしていきたいと考えています。人材マネジメントでは人の悪いところの指摘は最小限にし、先生方の特技やよいところを最大限に伸ばしてあげることを意識していきたいと思います。これは花王時代の私のマネジメントスタイルでもあり、メンバーが生き生きと仕事をするための秘訣だと思っています。

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