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コラム

デジタルマーケター、校長になる!

「コーゼーション」から「エフェクチュエーション」へ VUCA時代には高校にもアントレ教育が必要だ!

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楽天、カルビーも参加 茨城から始まる産学連携の兆し

2023年11月に民間校長の公募に応募、さらに合格して、4月から公立中高一貫校に赴任しました。教育現場という全く新しい職場環境に飛び込んで、まもなく10カ月が経とうとしています。花王から移籍して10カ月、今回は学校の仕事において、これまでに私が感じていることを書きたいと思います。

学校という組織を「ビジネスモデル」で捉えると、その仕組みはすでに出来上がっていると思います。加えて、その「ビジネスモデル」が構築されて時間が経過しており適度な変化が必要なタイミングだと感じていました。

写真 人物 複数スナップ 茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校

変化が求められる背景としては、デジタル技術の進化があるでしょう。デジタル技術は、今までにない新たな価値をあらゆるところで生み出していますが、学校にはまだまだ取り込めていないことが課題です。

そんな中、花王時代に、デジタルを活用して新しい仕事を推進してきた私の経験と、民間校長の公募企画を行っている茨城県教育委員会が学校長に求めているマネジメントスキルに共通点が見えてきました。それは、過去の経験に捉われず、新しい価値を創造できる「アントレプレナーシップ精神の人材育成」ができる校長です。

私は花王時代でもどちらかというと、今まで先輩がやってこなかった仕事にワクワク感を感じ、新規事業の仕事に多く携わっていた気がします。新規チャネルのEコマースの拡大や、DX推進部署の新設などは、まさにそうだったのかもしれません。

私はアントレプレナーシップ(起業家精神)とは、花王のような成熟した市場に向き合う大企業で働く社員こそ、アントレ精神は必要なスキルであると考えてきました。アントレプレナーシップは、起業する人だけが必要とするものではないのです。大企業や公務員など大きな組織で働く人にとっても重要なスキルです。それゆえ、アントレプレナーシップを養成する学びは学校教育にも必要とされていて、文理横断型の探究的な学びが求められています。

私は民間出身の校長として2023年4月に茨城県の下妻一高に着任して以来、学校教育の現場でアントレプレナーシップ教育を推進していくため、いくつかの取り組みを行ってきました。

そのひとつがこのコラムでも紹介させていただいた、楽天さんサイバーエージェントさんなどのIT最先端の企業の訪問です。将来の夢や目標を見つけるきっかけ作りになりました。

こうしたご縁があって、11月に楽天さんの起業家精神が詰まった企業理念を肌で感じてもらうため、同社の地域創生授業の立場様に本校に来校いただき、高校2年生が実施する、2月の探究成果発表会に向けたオリエンテーションの場にも参加をしてもらいました。

このオリエンテーションの場には、茨城県に新たにできたカルビー下妻工場の方や下妻市に誘致した下妻市役所の担当の方にも参加をいただきましたまさに産学連携の小さな事例作りのキックオフミーティングです。

写真 イベント キックオフミーティング 生井秀一氏 茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校

私が教育の現場に入ってから今まで心がけて行ってきたことは、「今、自分に出来ることを活かして、まずはやってみること」です。この動き方は、アントレプレナーシップの新たな潮流として注目を集めている「エフェクチュエーション(Effectuation)」という考え方に似ています。エフェクチュエーションはアントレプレナーシップの新たな潮流として注目を集めているそうです。

VUCA時代と呼ばれているように、不確実性が高まったことによって社会やビジネスの未来予測が困難となっている現代です。エフェクチュエーションへの注目が高まっている背景には、これまでとは逆のアプローチ方法を打ち出したことも挙げられます。手持ちの手段から新しいゴールを発見していく問題解決型アプローチであるエフェクチュエーションは、今の正解のない時代にあった、有効的な仕事の進め方だと思います。

一方で、目標設定型の逆算的アプローチは「コーゼーション(Causation)」と呼ばれ、将来をできるだけ予測して目標達成のための手段を考え、行動を進めていく手法です。大企業では、まず中長期戦略を立ててバックキャスティングするのはまさにこの考え方ですね。どちらの考えが良いかという話ではなく、上手くこの2つの考え方を織り交ぜながら戦略を練ることが大切なのだと思います。

とにかく、今の時代は、やらないリスクより、やるリスクを取ることが大切だと思っています。前年踏襲型のマネジメントスタイルから、私のアントレプレナーシップを生かして、新たな風を入れる事によって、さらに学校も良くなる気がしています。

私が目指すアントレプレナーシップ精神を、業界を超えて持ち込み、教育業界というやりがいのある市場で、次世代リーダーとなる生徒の育成をしたいと思います。

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