月刊『宣伝会議』では、社会に大きな影響を与える有識者が、いまの広告やメディア、コミュニケーションについて、どのように捉えているのかをインタビューする企画「私の広告観」を連載中。ここでは「私の広告観 出張所」として、インタビューの一部や誌面では掲載しきれなかった話をお届けします。今回登場するのは、ミニチュアの視点で日常にある物を別の物に見立てたアートで人気の、ミニチュア写真家で見立て作家・田中達也さんです。
Q.2011年にInstagramにてアート作品「MINIATURE CALENDAR」の発信を開始され、現在に至るまで、毎日欠かさず投稿を続けていますよね。作品づくりのきっかけは何だったのでしょうか。
大学を卒業後、鹿児島県の制作会社でデザイナーとして働いていて、当時勤めていた制作会社では仕事柄、カメラマンに撮影の指示を出すことが多かったのですが、僕自身はあまりカメラの知識がなくて。
勉強しようと考えていたところにInstagramのサービスが始まって、どんなものかちょっと使ってみようかなと。iPhoneで撮った写真を投稿してみようと思い、軽い気持ちで始めました。
投稿を続けていくうちに、もっと注目されるにはどうしたら良いだろうかと考えるようになり、人気の高い投稿写真の傾向を分析すると、主役の被写体が明確に写し出されているものが多かったんです。
そこで、何かシンボリックな被写体を使って写真を撮ろうと考えるようになりました。モデルを使うことも考えましたが、勤めていた制作会社の仕事が多忙で時間が取れずに断念。
そこでひらめいたのが、趣味で集めていたミニチュアでした。撮影を重ねるにつれて、複数のミニチュアを使ってどのように組み合わせると反応が得られやすいかなど、研究を重ねていき、現在の「見立て」という作風にたどり着きました。
マスクをクリスマスツリーに見立てた「クリスマスク」。ほかにも、マスクをオペラハウスやプール、バスケットボールのコートなどに見立てた作品も。
Q.作品を通じて伝えたい想いとは。
“見立て”の作品を通じて伝えたいのは、身の回りにある物事や現象に対してちょっと視点を変えて見ることで、日常がより楽しいものにアップデートされていくということです。
