SDGsが注目され企業が取り組みを進めるに伴って、同じく注目を集めるようになった「SDGsウォッシュ」。言葉が使われるようになって10年近く経つ現在、SDGsウォッシュはどのような局面を迎えているのか。金沢工業大学SDGs推進センター所長の平本氏が解説する。
※本記事は、月刊『広報会議』11月号 (10月1日発売)の特集記事の一部を転載しています。
SDGsウォッシュとはSDGsに関して表明を行ったにもかかわらず、実態が伴っていない状態のことを言います。
SDGsウォッシュの類似語には、より環境に特化したグリーンウォッシュがありますが、最近世界ではこのグリーンウォッシュに関して規制強化が急速に進んでおり、国によっては罰則などが発生する事例が増えてきています。日本も例外ではありません。
SDGsウォッシュやグリーンウォッシュの語源となったのは、「ホワイトウォッシュ」という用語です。この「ホワイトウォッシュ」は、「粉飾をする、ごまかす、隠す」といった意味で用いられます。ビジネスの世界では、粉飾決算や製品の欠陥など、事業上の不都合な事柄を隠ぺいしたり、偏ったデータを用いて情報操作を行ったりすることを指摘する際に用いられます。
派生語であるグリーンウォッシュが用いられるようになったのは、1980年代です。環境ビジネスに取り組む企業が増える中で、自社の環境事業・活動を根拠もないまま過大にPRする企業が現れ、問題視され始めました。そして、そうした企業をグリーンウォッシュと指摘するようになりました。
さらに2016年以降、SDGsに取り組む企業が増える中で、SDGsについて大々的にPRをするもののその実態が伴っていない企業が現れ、人々はこうした企業の行為を「SDGsウォッシュ」と指摘するようになりました。なお、SDGsウォッシュは和製英語です。英語圏ではSDGsウォッシングという用語を用いることが一般的です。