「街」というリアルな場の新しい価値を生み出す、産官学民プロジェクトを成功させるには?

なぜ、産官学民プロジェクトは継続できないのか?

ここ1年、渋谷未来デザインへの問い合わせが急増しています。その内容は多岐にわたり、自治体関係者、大企業、スタートアップ、大学、さらには海外の組織までが私たちを訪れます。

共通して聞こえてくるのは、「1社や1自治体だけでは解決できない」「地域や社会課題に次の一手をどう打つべきか」という切実な声です。

こうした声を受けながら、私は今、社会全体が「共創」の重要性を理解し始めていると感じています。人々の生活がますますデジタル化し、リアルな接点が失われつつある時代。そんな中、「街」というリアルな場が再び注目され、そこから新しい価値を生み出そうとする動きが広がっています。

渋谷もその象徴的な例です。活気が戻り、多くの人々が行き交っている街。同時に、屋外広告やリアルイベントといった「リアルな場を活用したプロモーション」が再評価され、デジタル全盛の時代にリアルな場の可能性が改めて認識されています。

ここには、まだ掘り起こされていない大きなチャンスが隠されているのです。

課題の根本にある「ズレ」と「失速」

しかし、そのような状況の中でも、産官学民プロジェクトが成功するとは限りません。

うまくいかない理由のひとつは、「価値観のずれ」です。行政は地域の長期的な発展を求め、企業は利益や成果を重視し、大学は研究成果に焦点を当て、市民は生活の改善を期待します。こうした立場の違いから、それぞれのゴールが異なり、ズレが生じます。このズレを解消しないまま進めば、プロジェクトは迷走しやすくなります。

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長田新子(渋谷未来デザイン 理事・事務局長/NEW KIDS 代表)
長田新子(渋谷未来デザイン 理事・事務局長/NEW KIDS 代表)

AT&T、ノキアにて通信・企業システムの営業、マーケティング及び広報責任者を経て2007年にレッドブル・ジャパンに入社。コミュニケーション統括責任者及びマーケティング本部長(CMO)として10年半、エナジードリンクのカテゴリー確立及びブランド・製品を市場に浸透させるべく従事し2017年に退社。2018年から渋谷区が主体になり設立された渋谷未来デザイン理事・事務局長として、都市の多様な可能性をデザインするプロジェクト活動を推進。コロナ禍で渋⾕区公認「バーチャル渋⾕」を⽴ち上げ、「バーチャルハロウィン企画」は第7回JACEイベントアワード最優秀賞「経済産業⼤⾂賞」(2020年度)を受賞。2023年に日本アドバタイザーズ協会デジタルマーケティング研究機構の第11回Webグランプリ にて「Web人賞」、都市のXRスポーツイベント「AIR RACE X」はSPORTS INNOVATION STUDIOコンテストにて「パイオニア賞」受賞。2018年には、NEW KIDSを立ち上げ、ブランド、コミュニティ・アスリート・イベント関連のアドバイザーや講演活動等を行いながら、行政活動支援、業界発展からスタートアップ支援まで幅広く行なっている。

長田新子(渋谷未来デザイン 理事・事務局長/NEW KIDS 代表)

AT&T、ノキアにて通信・企業システムの営業、マーケティング及び広報責任者を経て2007年にレッドブル・ジャパンに入社。コミュニケーション統括責任者及びマーケティング本部長(CMO)として10年半、エナジードリンクのカテゴリー確立及びブランド・製品を市場に浸透させるべく従事し2017年に退社。2018年から渋谷区が主体になり設立された渋谷未来デザイン理事・事務局長として、都市の多様な可能性をデザインするプロジェクト活動を推進。コロナ禍で渋⾕区公認「バーチャル渋⾕」を⽴ち上げ、「バーチャルハロウィン企画」は第7回JACEイベントアワード最優秀賞「経済産業⼤⾂賞」(2020年度)を受賞。2023年に日本アドバタイザーズ協会デジタルマーケティング研究機構の第11回Webグランプリ にて「Web人賞」、都市のXRスポーツイベント「AIR RACE X」はSPORTS INNOVATION STUDIOコンテストにて「パイオニア賞」受賞。2018年には、NEW KIDSを立ち上げ、ブランド、コミュニティ・アスリート・イベント関連のアドバイザーや講演活動等を行いながら、行政活動支援、業界発展からスタートアップ支援まで幅広く行なっている。

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