生成AIの浸透で、さらに悪化するネット言論空間
1月17日のフジテレビの“紙芝居会見”を受けてから、広告主の皆さんの反応は実に早かったですね。翌日には大手広告主が自社のCMをACジャパンの原稿に差し替え、週明けには、その数が75社に広がりました。フジテレビが経営的に多種多様の問題を抱えていたことが明るみになったわけですが、広告主の反応を受けて、一気に改革に向けて進もうとしています。広告主が問題あるメディアに改善をすべきと意見を突きつけたことは、社会的にもよい判断だったと思います。
だからこそ、私は広告主の皆さんに言いたい。ネット広告についても検討すべき時ではありませんか、と。去年、こんなタイトルで記事を書きました。
「ネット広告をよくしなければ社会が悪くなる、2024年度はその分岐点です。」
昨今、再びフェイクニュースの問題が顕在化していますが、この背景には生成AIの浸透があると思います。もっともらしい記事や画像をAIが作成。コンテンツのふりをして鎮座する状況が続いています。情報空間の健全性を脅かす、こうしたコンテンツが蔓延し、しかもセンセーショナルであるがゆえに、ユーザーのアテンションを獲得。まっとうな取材活動を行うマスメディア企業が厳しい状況に追い込まれています。もはや、まっとうなメディアは儲からなくなっている。そんな状況を反映してか、ひどい広告表示が硬派なメディアでも見られるようになっているのではないか、そんな考えを提示したのが昨年のコラムです。