「仕事と介護の両立」当事者のみならず企業全体で向き合うテーマへ、伝え方のポイントは?

2025年、団塊世代が全員75歳以上となり介護リスクが高まる中、メディアや従業員から関心が集まるのが「仕事と介護」の両立。改正育児・介護休業法においても、企業は介護離職防止のための雇用環境整備が義務付けられている。企業はこの課題にどう向き合っていくべきか。
※本稿は広報会議2025年3月号を転載しています。

仕事と介護の両立支援事業を行うチェンジウェーブグループでは、企業向けに両立リテラシーを高めるための講演やセミナーを提供している。その中で、記者から「仕事と介護の両立に取り組んでいる企業を紹介してほしい」と相談されることや、企業から「介護のテーマが社内でこんなに反響があると思わなかった」という声を聞くケースが、この1~2年で目立ってきている。そう話すのは同社執行役員の鈴木富貴氏だ。

「人手不足が課題となる中、生産性を上げ成長していくにはどうしたらいいのか、という関心から、ビジネスケアラー(働きながら介護をする人)が働き続けられる環境づくりに注目が集まっています。仕事と介護の両立についての取り組みを企業が積極的に発信していくことは、『多様な働き方を認めている会社』というメッセージになります。採用や社員のエンゲージメント向上、さらには企業ブランディングにもいい影響を与えることが期待できます。取り組みを上手に発信している企業は、社員が集まる場にメディアを誘致するなど、人事部門と広報部門の連携がとれているように思います。メディアに取り上げられることで、社内の関心や評価が高まり、両立支援がさらに進むという好循環も生まれやすくなります」(鈴木氏)。

同社の調査においては、企業で働く人の半数が、ビジネスケアラーやケアラー予備軍に該当、という結果も出ており(

図1

)、リスクマネジメントの側面からも、両立支援は組織として取り組むべき課題になっているという。

図1 企業従業員のビジネスケアラー(予備軍)ステージ別構成割合

イメージ 仕事と介護の両立支援クラウドLCAT(チェンジウェーブグループ)受講者データ2023年より(n=38058)

仕事と介護の両立支援クラウドLCAT(チェンジウェーブグループ)受講者データ2023年より(n=38058)

仕事と介護の両立を推進することで、個人はキャリアを継続、企業は生産性を維持する。そうした環境をつくっていく上でコミュニケーションを担う広報部門の役割は大きいと鈴木氏は指摘する。

「従来の介護のイメージ、例えば『仕事をセーブして介護に専念したほうがいい』『介護は個人の問題であり職場で話すと自分のキャリアにネガティブな影響があるのでは』といった考え、職場環境をアップデートしていく必要があります」。

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