『広報会議』が20周年を迎えたとのこと。20年に敬意を表しつつ、その知らせを聞いて思わず「遠い目」になってしまった自分がいる。
読者の皆さんの中には『広報会議』は当初、『PRIR』(プリール)という誌名で創刊されたことを記憶されている方も少なくないだろう。しかし、その創刊にさらに先立って、実は当時すでに広く読まれていた『宣伝会議』の「誌面内企画」として、『広報会議』は登場していたのだ(2001年より掲載開始)。
そして、その企画内の「若手PRパーソン座談会」に、当時まだ駆け出しだった(若手の)私は参加する機会を得た(思えばあのときが、PRパーソンとしてメディアに出た最初の瞬間であった)。
広報が「経営機能」に昇華した
『広報会議』にとっても私自身にとっても、何やら「エピソード0(ゼロ)」のような話だが、とにかくそういったわけで、同誌の歴史と私自身の広報・PR業界におけるキャリアはシンクロして重なり、僭越ながら「同志」のような気持ちさえ抱いている。
その短いようで長い20年を振り返れば、日本におけるPR=パブリックリレーションズの浸透には目を見張るものがある。
歴史的に広告領域の存在感が大きく、PRの理解に乏しかった日本。無論いまだに課題は多いが、20年前と比較すれば隔世の感ですらある。
2023年に、日本広報学会は1995年の設立以降初めて、「広報の定義」を次のように刷新した。
「組織や個人が、目的達成や課題解決のために、多様なステークホルダーとの双方向コミュニケーションによって、社会的に望ましい関係を構築・維持する経営機能である」
ソーシャルメディアの普及による情報の拡散性や双方向性の向上、炎上やフェイクニュースなどのリスク増大と可視化、いわゆる「パーパス=企業の社会的存在意義」へのここ数年の注目などを経て、パブリックリレーションズは企業が社会に向き合うことであり、すなわちそれは「経営機能」にほかならない、という認識が広がりつつある。