世界的にコンサルティングファームと広告会社の境界がなくなりつつある昨今、コンサルティング会社が広告ビジネス領域にも参入し、広告会社と競合・協業することも増えてきた。プロモーション(広告・宣伝・PR)をマーケティングサービス領域のひとつとして展開している、デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員/ Deloitte Digital Japan Leaderの熊見成浩氏に話を聞いた。
※本記事は月刊『宣伝会議』7月号の特別レポート「広告ビジネスの経営層に聞く! AIが浸透した時代、広告会社のビジネスはどこに向かう?」の転載記事です。
※本記事は月刊『宣伝会議』7月号の特別レポート「広告ビジネスの経営層に聞く! AIが浸透した時代、広告会社のビジネスはどこに向かう?」の転載記事です。
AIエージェントの拡大で増加する「マシンカスタマー消費」
——AIの活用が進むなかで、マーケティングおよび広告はどのように変化していくと思われますか。
デロイト デジタルでは、マーケティング、セールス、サービスの3つの顧客接点領域でコンサルティングサービスを提供しています。デロイト デジタルにおける「マーケティング」の範囲は“STP(Segmentation,Targeting,Positioning)×MM(Marketing Mix)”が主なスコープとなりますが、AIによって大きな変化が予想されます。
まず、AIの進化によりさまざまな経済活動のプロトタイピングができる「ミラーワールド」が実現すると考えています。大量の顧客情報、リアルタイムデータ、デジタルツインなどの技術により、市場や商圏の高度なシミュレーションが可能になっていくからです。
また、「ハイパーコネクテッドエコシステム」が進化し、マーケティングは組織の中枢神経系となり、顧客獲得だけでなく、製品イノベーション、従業員エンゲージメント、さらには人事をも結び付ける役割を担うようになるでしょう。その結果としてCMOは、経営全体におけるビジネスの未来を形づくるうえで極めて重要な役割を将来的に担うようになっていきます。
さらに、消費者が人間だけでなくAIエージェントを通じて商品を購入する「マシンカスタマー消費」が増加。感情に訴えるだけのマスマーケティングは通用しづらくなり、よりパーソナライズされた精緻なシミュレーションに基づくマーケティングが求められるようになります。