飲食店で約40年愛されてきた「氷彩」が、缶チューハイとして登場。発売からわずか2カ月で1000万本を突破するヒット商品となった。なぜ、知名度の低かったブランドが、一般市場でここまでの成果を上げられたのか?背景には、食中酒としての価値訴求、ファンの熱量、そして生活動線に溶け込むプロモーション戦略があった。
1984年に発売した「サッポロホワイトブランデー氷彩」をルーツとした商品。2025年2月に発売し、約2カ月で1000万本を突破した。年間目標は200万ケース。“知る人ぞ知る”から、家庭で楽しむ“新定番”としての定着を目指す。
店の味が家でも飲めるファン待望の商品発売
━━「氷彩」は飲食店で飲むイメージが強いですが、RTD(開けて直接飲める飲料)としても2025年2月に販売を開始しました。
「サッポロサワー氷彩1984」は1984年に発売した「サッポロホワイトブランデー氷彩」をルーツとし、長年愛されてきたプレーンサワーです。飲食店を中心に長い間親しまれているブランドなので、普段からお酒をたしなむ方々の中には「氷彩」の文字が刻まれたグラスでお酒を飲んだ経験がある人もいるかもしれませんが、正直なところ、一般的な「氷彩」の認知は、あまり高くありませんでした。
ただ、その一方で、根強いファンがいてくださったことも事実です。実際、飲食店のメニューでは「生ビール」や「レモンサワー」など、一般名称で記載されていることも多いですが、「氷彩サワー」とブランド名を表現していただいている飲食店が多くみられるのも、このブランドの特徴です。飲食店様やファンの方のご支持があらわれているものと捉えています。
なので今回、缶チューハイとして初めて一般発売されたことで、「あの味が家で飲める」と、既存ファンがSNSで反応してくれることもありました。このように「知る人ぞ知る」ブランドである「氷彩」ですが、RTDでの販売を始めたことで、これまでよりも愛飲者の裾野を広げることができるのではないかと期待しています。
売上実績も順調に積み重なっていますね。2025年2月に発売し、同年4月には累計で1000万本を達成しました。年間目標としては200万ケースを掲げているので、今はその目標達成に向けて努めているところです。
━━ファンにとっては待望の商品ということですが、RTDとなると対象顧客が飲食店から一般顧客へ拡がることになります。戦う市場が異なりそうですが、なぜ缶での発売を決断できたのでしょうか。
先ほども述べたとおり、たしかに「氷彩」の認知度はそこまで高くありませんでした。それに加えて、飲食店向けの樽販売ではなく、一般消費者へ届けることも「氷彩」としては新たな試みです。これまでとフィールドは異なりますが、近年のRTD市場の傾向を鑑みると、「氷彩」がそこで戦える余地は十分にあると思っていました。
