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欧州地域の企業ブランド認知が課題に
セッションでも投影したオープニングムービー
向井:当社はグローバルでさまざまな事業を展開していますが、欧州地域のビジネスはこれまでBtoBがメインでしたので、コーポレートブランドがまだ広く認知されていないという課題があります。コーポレートブランディングを強化していくためには欧州視点でのストーリーづくりやPRが大切だと考えて動き始めていた中で、今回のカンヌライオンズのお話を本田さんからいただきました。
本田:私自身は過去にもカンヌライオンズのステージを企画した経験に加え、登壇経験も3回ほどあり、常にカンヌライオンズのことは意識していました。そんな中で、昨今の「日本食」の世界的なブームやTasteAtlasが発表した「世界の料理ベスト100」で日本食が2位にランクインしたことを踏まえ、日本食×クリエイティビティというテーマはカンヌライオンズで刺さると考えました。カンヌライオンズ側にも感触を聞いてみたら、とても面白いというリアクションでしたので、「日本食」を語るのであれば日本を代表する歴史ある味の素はぴったりだと考え、このステージが実現しました。
向井:カンヌライオンズ自体は、マーケティング・コミュニケーション業界のカンファレンスではありますが、欧州において味の素が何者なのかを語る機会をより多く持つ必要があるという背景から、とてもありがたいお話だと思い「日本食」に関するステージを実施させていただきました。
企業色抑え、発信したのは「日本食文化」
本田:今回の味の素のステージは、日本のメーカーとして初のカンヌライオンズでの公式セッション主催となりました。テーマは「日本食のクリエイティビティの秘密」で、登壇者は私自身と、味の素 欧州アフリカ本部長の森さんと、フランス人以外で史上最年少でフランス・ミシュランの星を獲得した日本人シェフ・松嶋啓介さんの3人。世界的な日本食の人気の裏にどういうクリエイティビティがあるのか、その鍵である「うま味」の話も取り入れ、300人ほぼ満席で大盛況でした。
向井:カンヌライオンズのステージは、企業色が出すぎると話を聞いてくれない場ですが、やはり日本が誇りとする日本食文化というものをこの世界最大のコミュニケーションの場で発信できたことは、ここから先の展開につながる土台になると思いました。
また、ユネスコ無形文化遺産に登録されている和食を通じて、日本の魅力を世界に伝えられるのは素晴らしいことだと実感しました。
本田:カンヌライオンズは企業プレゼンテーションの場ではないので、味の素のことをアピールすることは求められていないんですよね。来ている人はクリエイティビティをもっと理解し、世界のケーススタディから刺激を受けることを求めています。


