今、日本には「パブリック」が必要だ。~書籍『THINK PUBLIC』に寄せて(橋口幸生)

先日『クリエイティブ・エシックスの時代』(宣伝会議)という著書を出版した。「エシックス=倫理観」とクリエイティビティは、二律背反でない。むしろエシックスこそクリエイティビティを飛躍させる鍵だ。実際、世界的なブランドはエシックスを活かして成長している。映画やドラマの世界では、ヒット作や大きな賞を獲るような作品は、必ず倫理的なテーマを扱っている。広告の世界も例外ではない。政府の影響力が低下し、ビジネスが公共的な役割を担わざるを得ない時代にあって、クリエイティブ・エシックスの重要性は増す一方だろう。……というのは、本の大まかな内容だ。幸いなことに発売後すぐに重版となるなど、好評を博している。講演などの依頼をいただく機会も多い。

しかし、この場を借りて告白すると、この本には「元ネタ」がある。杉山恒太郎さんが2022年に上梓した『広告の仕事 広告と社会、希望について』(光文社)がそれだ。同書内で杉山さんはこれからの広告は「公告」たるべきだと提唱している。

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見出し

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「遍く広く告げる」と書いて「広告」だけれど、僕は「公に告げる」と書いて「公告」という感覚が現代では必要だと思っている。
「公」=パブリックの意識を持った新しい伝え方をしないと、広告に明日はない。逆にいえば、「公告」に姿を変えることで、広告はまだまだ多くの人に必要とされていくはずだ。
(出典:『広告の仕事 広告と社会、希望について』)

同書内では、杉山さんは自身のキャリアやプロボノでの広告制作の経験を通して、これからの広告は「公」=パブリックの意識を持つべきと主張していた。それに僕は大きな影響を受けて、『クリエイティブ・エシックスの時代』を執筆した。仕事でもSDGsや DEIに関係する広告を手掛ける機会が増えた。

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宣伝会議 書籍編集部
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宣伝会議書籍編集部では、広告・マーケティング・クリエイティブ分野に特化した専門書籍の企画・編集を担当。業界の第一線で活躍する実務家や研究者と連携し、実践的かつ最先端の知見を読者に届けています。

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