「サステナビリティ」や「エシカル消費」は、いまや企業の販促やマーケティングに欠かせないキーワードとなっている。しかし、α世代にとってそれは本当に“モノを買う理由”になっているのだろうか。今回の座談会では、若年層を代表するインフルエンサーのもか氏、超十代・代表取締役社長の平藤氏、行動経済学を専門とする明治大学の後藤准教授、そして販促支援を行うスコープの市川氏・池田氏が議論を交わした。見えてきたのは、「環境配慮は特別な理由ではなく、むしろ“やって当たり前”と考えられている」という現実だ。
編集協力:スコープ
サステナビリティはモノを買う理由にならない?
━━テーマは「本当にα世代はサステナビリティを理由にモノを買うのか?」です。マーケティング・販促領域では、“新常識”となりつつありますが、皆さんはどう考えていますか。
市川
:スコープのクライアントからは“サステナビリティで若年層にアプローチしたい”という相談をよくいただきます。ただ、実際の現場では、サステナビリティだけではまだ購買に直結しづらいと感じます。
後藤
:サステナビリティ文脈の販促企画、若年層に響いてほしいなというのが正直なところですよね。実際に、サステナビリティであるという事実が人の購買行動に影響を与える可能性は、行動経済学の観点でも十分にあると思うんです。というのも、行動経済学には「社会的証明」と呼ばれる心理的現象が存在します。これは何かと言うと、他者の行動や意見に同調する心理的傾向のことなんです。α世代をはじめとする今の若年層は、小学生の頃から「環境に配慮しましょう」と授業で習っていますよね。「環境に良いことはすべきだ」という感覚がもともと備わっている人が多いので、この感覚が購買にも影響を及ぼすことは考えられるんです。とはいえ、まだ環境配慮やサステナビリティがモノを買う決定的な理由になっていないのは、α世代がまだ環境配慮を自分ごと化していないからかもしれないな、と考えています。将来的には消費の理由になる可能性は十分にあると思いますね。