宮崎県の南西部に位置する自然と食文化が豊かな小林市。2014年に始動したPRプロジェクト「てなんど小林」をきっかけにインナー・アウター問わず多彩な施策を展開し続けています。約10年、同市のシティプロモーションに携わってきた鶴田健介氏が、その全貌を振り返ります。
※本稿は『広報会議』の連載「地域活性のプロが指南」から転載しており、今回が第1回目となります。
※本稿は『広報会議』の連載「地域活性のプロが指南」から転載しており、今回が第1回目となります。
宮崎県小林市。霧島山麓から湧き出る天然水、日本一の宮崎牛、日本一の星空、チーズ饅頭発祥、高校駅伝の強豪など全国に誇れる名物・魅力をふんだんに有するまちですが、「フランス人が出ているあの方言動画」と聞いて、ピンとくる人も多いかと。
“広告換算額10億円以上”、“自治体PRムービーブームの火付け役”とも言われたバズから10年。現在でも認知度向上や郷土愛醸成のため、あらゆる手段でシティプロモーションに取り組んでいます。今回は初回なので、約10年間で小林市が取り組んできたプロモーション活動を俯瞰してご紹介します。
きっかけは消滅可能性都市への危機感
小林市が本格的にシティプロモーションに取り組むきっかけになったのは、2014年5月に公表された増田レポート(正式には、日本創成会議による提言)でした。2010年から2040年までの30年間で、20~39歳の若年女性人口が半減する自治体を「消滅可能性都市」と定義し、全国896自治体がこれに該当すると指摘。小林市もこの「消滅可能性都市」に該当していました。2024年に人口戦略会議が公表した分析で、「消滅可能性自治体」からは脱却できたものの、当時、小林市に走ったインパクトは相当なものでした。