諦めない力こそがVUCAを切り拓く唯一の戦略~下妻一高野球部が体現したアントレプレナーシップ~

民間人校長として下妻一高に着任し(2024年4月校長就任)、私が学校経営の目標としたのが、激変するVUCA時代を生き抜くための「アントレプレナーシップ」、すなわち「自ら考え、行動し、新しい価値を生み出す力」の育成です。この目標実現のため、私は花王時代に培った民間企業での知見を活用し、伝統の「深化」と挑戦の「探索」を両立させる「両利きの経営」のフレームワークを導入しました。

この「両利きの経営」の精神を最も体現したのが、秋季茨城県高校野球大会で準優勝を果たし、関東大会に出場した本校野球部でした。彼らが合言葉とした、トラディションアンドイノベーション(Tradition & Innovation)・「粘り強く・泥臭く」は、既存の強みを守りながら新たな価値創造に挑む、現代ビジネスに不可欠な戦略的持久力そのものです。

写真 野球部

9対0の「絶望」を切り拓いた能動的レジリエンス

関東大会1回戦、下妻一高は甲子園常連校である浦和学院と対戦しました。試合は5回終了時点で9対0と大きくリードを許し、コールド負けという絶体絶命のピンチに立たせられました。この「9対0」という絶望的な状況下で、彼らが示したのが、単なる精神論ではない戦略的レジリエンスでした。敗戦が避けられないと理解しつつ、目標を「勝利」から「コールド回避」へと戦略的に再設定したのです。

続きを読むには無料会員登録が必要です。

残り 834 / 1374 文字

KAIGI IDにログインすると、すべての記事が無料で読み放題となります。

登録に必要な情報は簡単な5項目のみとなります

「AdverTimes. (アドタイ)」の記事はすべて無料です

会員登録により、興味に合った記事や情報をお届けします

生井秀一(茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校 校長)
生井秀一(茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校 校長)

花王の販売子会社に入社し、営業部門で大手流通チェーンを担当。ヘアケアブランドのマーケティングを担当した後、2015年にECの営業マネジャーとなり、花王のECビジネスを推進。2018年に全社DX推進をするプロジェクト型組織の先端技術戦略室に異動。2021年にDX戦略推進センターを設立、全社DX戦略を担当した。過去3度、社長賞を獲得。花王グループのDXを推進し、ECビジネスの構築などの推進役を担う。

2023年に茨城県とエン・ジャパンが実施した「ソーシャルインパクト採用」において、茨城県内の中高一貫校・専門高校の「校長」を教員免許不問で公募するプロジェクトに応募。1645人の応募者のなかから選ばれ、花王を退職して2023年4月から民間出身者の校長として茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校に着任。

生井秀一(茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校 校長)

花王の販売子会社に入社し、営業部門で大手流通チェーンを担当。ヘアケアブランドのマーケティングを担当した後、2015年にECの営業マネジャーとなり、花王のECビジネスを推進。2018年に全社DX推進をするプロジェクト型組織の先端技術戦略室に異動。2021年にDX戦略推進センターを設立、全社DX戦略を担当した。過去3度、社長賞を獲得。花王グループのDXを推進し、ECビジネスの構築などの推進役を担う。

2023年に茨城県とエン・ジャパンが実施した「ソーシャルインパクト採用」において、茨城県内の中高一貫校・専門高校の「校長」を教員免許不問で公募するプロジェクトに応募。1645人の応募者のなかから選ばれ、花王を退職して2023年4月から民間出身者の校長として茨城県立下妻第一高等学校・附属中学校に着任。

この記事の感想を
教えて下さい。
この記事の感想を教えて下さい。

このコラムを読んだ方におススメのコラム

    タイアップ