宮崎県の南西部に位置する自然と食文化が豊かな小林市。2014年に始動したPRプロジェクト「てなんど小林」をきっかけにインナー・アウター問わず多彩な施策を展開し続けています。約10年、同市のシティプロモーションに携わってきた鶴田健介氏が、その全貌を振り返ります。
※本稿は『広報会議』の連載「地域活性のプロが指南」から転載しています。第1回はこちら
“自治体PRムービーブームの火付け役”と称された宮崎県小林市の『ンダモシタン小林』。その成功背景にはプロの力を借りる適材適所の外部委託と、それ以前から時間をかけて行っていた地道な内製活動があった。
宮崎県小林市のプロモーションプロジェクト「てなんど小林」が2015年にリリースしたPR動画『ンダモシタン小林』が、“自治体PRムービーブームの火付け役”と評されるほど話題となり、認知獲得に大きな成果を上げたことは前回紹介したとおりです。
当時、自治体PRムービーというと、美しい風景中心のカタいものが多い中、このような型破りな企画によくぞゴーサインが出たものです。リリース後の滑り出しは緩やかだったものの、テレビや新聞、ウェブニュースに取り上げられるとメディア波及効果によって再生数の伸びが加速。連鎖的に新たなメディア露出を呼び込むというスパイラルが生まれました。
当時の対応の積み重ねは、組織的なメディア対応力の磨き上げにも好影響をもたらしました。スピード感のあるレスポンスや情報提供力、コーディネート力、そして前のめりなウェルカムな姿勢といった要素は、当課における現在のメディア・リレーションズ戦略の礎となっています。
小林市出身のプロ、越智一仁によるクリエイティブ
この動画の成功要因を2つ紹介します。1つ目は動画制作陣のプロフェッショナルな仕事です。オチにつながる緻密な仕掛け、シネマライクな映像美、“二度見”というキーワードで動画を拡散させるバイラル戦略など、高度な知見とクリエイティビティの結集でした。大きな成果を目指すプロジェクトであれば、内製しようと試みるよりもスペシャリストに潔く任せる判断も重要で、必要な投資でもあります。