パーパスを起点に、ブランドとカルチャーを再設計する 第一生命HDが描く「Daiichi Life Group」への転換

第一生命ホールディングスは2024年4月、新たなパーパス「共に歩み、未来をひらく 多様な幸せと希望に満ちた世界へ」を起点に、理念・ブランド・組織カルチャーの再設計に踏み出した。

2025年11月開催の「宣伝会議サミット」(当社主催)で、同社執行役員 Group Chief Brand and Culture Officerの坂本香織氏が、社名変更を伴うグループ変革の背景と、その中核にある考え方を語った。

事業ポートフォリオの変化を受けたパーパス再定義

第一生命ホールディングスは、2026年4月に「Daiichi Life Group」へと社名・グループ名を変更することを予定している。ブランド刷新の起点は、「パーパスである」と明言する。新パーパスは、生命保険の枠を超え、人生に寄り添い、人生の可能性をひらく存在へと進化する意思を明確に打ち出すものだ。

坂本氏は、理念とブランドの関係を「社員一人ひとりの行動を通じて、ステークホルダー接点でブランドが形成されていく構造」と説明する。企業理念やパーパスに基づいて社員が行動し、その積み重ねが顧客や株主、地域社会におけるブランド認識を形づくる。だからこそ、理念は単なるスローガンではなく、行動に結び付くものでなければならないという。

パーパス再定義の背景には、2030年に向けた事業ポートフォリオの変化がある。現在、第一生命グループの修正利益は約4395億円(2024年度実績)、時価総額は約4.5兆円規模だが、目指すのはグローバル・トップティアの保険グループだ。海外事業比率は約3割で、福利厚生サービス企業のグループ化など、非保険領域への展開も進む。坂本氏は「財務目標だけでなく、私たちはどんな存在になりたいのかを改めて定義する必要がありました」と語る。

新パーパスに込められた言葉の選択にも、同社らしさが表れている。「共に歩む」は、長年培ってきた強みであり、多くの社員が自然に挙げた価値観だった。一方で坂本氏は、「寄り添うだけでなく、さらに先まで考え、人生を切りひらく価値を提供したい」とし、「未来をひらく」という表現を加えた理由を説明する。また、国内保険会社の枠を超えたグローバル展開を明確にするため、「世界へ」という視座も盛り込まれている。

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