自治体マスコットから全国人気のIPへ ぐんまちゃんを育てた群馬県の広報戦略

「ゆるキャラグランプリ」(2014年)でグランプリを獲得した群馬県のマスコット・ぐんまちゃん。近年では、SNSやイベント出演はもちろん、アニメ・CMなど多角的に活動。日本国内はもちろん、世界でも戦えるIP資産に成長している。

群馬県のマスコット・ぐんまちゃん。

ぐんまちゃんのルーツは、今から約40年前の1983年に群馬県で開催された「第38回国民体育大会(あかぎ国体)」。マスコットキャラクターとして、絵本『11ぴきのねこ』で知られる馬場のぼる氏がデザインした四足歩行の馬がはじまりで、便宜上「初代ぐんまちゃん」と呼ばれている。

馬場のぼる氏デザインの「初代ぐんまちゃん」。

現在のぐんまちゃんは「2代目」。その原型は、1994年のスポーツ大会「ゆうあいピック群馬大会」のマスコットとして誕生した「ゆうまちゃん」だ。デザインを手がけたのは、当時県の職員だった中嶋史子氏。一般公募に応募した作品だった。

「スポーツ大会では、優勝して喜ぶ選手は一握りで、負けてしまう選手のほうが多いです。そんな中で、にっこり笑っているキャラクターでは落ち込んだ心に寄り添えない。勝ち負けに関係なく、いつでも子どもたちの横にいて『いつもそばにいるよ』と語りかけてくれるようなマスコットとして生み出したと、中嶋さんから伺っています」と話すのは、同県知事戦略部エンターテインメント・コンテンツ課ぐんまちゃん推進室コンテンツ係の安藤淑恵氏。ぐんまちゃんのコンテンツ管理や企業連携などを担っている。

口を少しだけ開けた独特の表情は、上記の理由によるもの。当初は大会だけの使用予定だったが、デザインが大きな反響を呼び、その後も県のキャラクターとしての続投が決定した。

当時県職員だった中嶋史子氏による「ゆうまちゃん」の原案。初代ぐんまちゃんが誕生した「あかぎ国体」から約10年を経ての刷新だった。

自治体名がそのままキャラ名に

ゆうまちゃんは2008年、正式に「2代目ぐんまちゃん」を襲名。その後2012年には「群馬県宣伝部長」に就任し、県の魅力を国内外に発信する役割を担うことになった。

現在のぐんまちゃんイラスト。

宣伝部長就任の背景には、ぐんまちゃんが持つ本質的な強みがあった。「自治体のマスコットで、自治体名をそのまま背負って活動しているキャラクターは多くいません。ぐんまちゃんが頑張って認知度や好感度を上げれば、群馬県も引っ張られて興味を持っていただけるようになると考え活動してきました」(安藤氏)。

ぐんまちゃんのファンを増やすことは、すなわち群馬県のファンを増やすこと。このシンプルな等式こそが、県の広報戦略の根幹を成している。ぐんまちゃん推進室は現在、コンテンツ係とプロモーション係からなる8名体制。「ぐんまちゃんのブランド化を図り、群馬県のファンを増やす」ことをミッションとし、多岐にわたる施策を展開している。

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