のん起用で打ち出す“反撃の夏” Wpc.日傘戦略の真意

傘ブランド「Wpc.」を展開するワールドパーティーは、女性向け日傘の2026年春夏キャンペーンで俳優・アーティストの“のん”を起用し、「さあ、かかってこい太陽。」という挑戦的なメッセージを掲げた。近年の記録的な酷暑を背景に、日傘が単なる紫外線対策アイテムから「命を守る」必需品へと役割を変える中、同社はなぜ機能性を前面に打ち出した強いコミュニケーションへと舵を切ったのか。その戦略の背景と意図を、同社の担当者への取材から紐解く。

「紫外線対策」から「命を守る」必需品へパラダイムシフト

近年の日傘市場は、大きな変化の渦中にある。Wpc.事業本部 セールスプロモーション部の中村友香氏によると、同社では数年前から日傘の販売数が雨傘を上回っており、現在では売上比率が日傘6割、雨傘4割という構成になっているという。この背景には、記録的な暑さが続くことに加え、暑い期間が長期化する「二季化」の進行がある。

日傘の役割も大きく変化した。5年から10年前は、利用者の多くは紫外線や日焼け対策を目的とする女性だった。しかし、約5年前に同社がメンズ日傘ブランドを立ち上げたことなどを機に男性にも徐々に浸透。特にここ数年は、酷暑が命に関わる問題として認識されるようになり、「命を守るための一つの手段」として性別を問わず日傘を持つことが一般化してきた。

この流れを後押しした社会的要因も複数存在する。コロナ禍においては、ソーシャルディスタンスを確保する手段として傘を差すことがSNSで話題となり、日傘を持つきっかけの一つとなった。また、2022年には日本気象協会が40度以上の日を「酷暑日」と命名したことや、2025年の大阪・関西万博といった屋外イベントでの利用経験も、日傘の快適さを実感させ、定着を促す要因になったと考えられる。

大阪・関西万博内でパナソニックグループが展開するパビリオン『ノモの国』にて、傘ブランド「Wpc.」の遮光日傘の貸出を実施。連日35度前後の猛暑が続き、熱中症などのリスクが高まるなかで来場者が安心・安全かつ快適に過ごすための暑さ対策のサポートを行った

大阪・関西万博内でパナソニックグループが展開するパビリオン『ノモの国』にて、傘ブランド「Wpc.」の遮光日傘の貸出を実施。連日35度前後の猛暑が続き、熱中症などのリスクが高まるなかで来場者が安心・安全かつ快適に過ごすための暑さ対策のサポートを行った

大阪・関西万博内でパナソニックグループが展開するパビリオン『ノモの国』にて、傘ブランド「Wpc.」の遮光日傘の貸出を実施。連日35度前後の猛暑が続き、熱中症などのリスクが高まるなかで来場者が安心・安全かつ快適に過ごすための暑さ対策のサポートを行った

「傘はファッションだ。」を再定義する、機能性訴求への転換

Wpc.は、ブランド20周年を迎えた2024年から「傘はファッションだ。」というブランドメッセージを掲げている。これは、傘を日用品や消耗品というカテゴリーから脱却させ、バッグや靴のように個性を表現するファッションアイテムの一つとして位置づけたいという思いが込められている。

イメージキャラクターに女優・南沙良さんを起用し、20周年の新しいブランドメッセージである「傘はファッションだ。」を表現した
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