ディー・エヌ・エー(DeNA)は、3月19日に横浜市に開業した没入型映像体験施設「ワンダリア横浜」の公式アプリ開発において、オンデバイスAIと生成AIを組み合わせた開発手法を採用した。3月6日に開かれたDeNA AI Dayでは、スマートフォンをかざすだけで生き物を認識し、情報を蓄積できるアプリ体験の実現に向け、AIによるサーバー推論ではなくオンデバイス推論を選んだ理由や、Kotlin Multiplatform(KMP)、自律型AIソフトウェアエンジニア「Devin AI」などを活用した開発体制について紹介した。
来場者のスマホ内で推論するAIを利用
登壇したのは、DeNAでワンダリアアプリの開発を担う菊池勇輔氏。ワンダリア横浜は、広大な森林や神秘的な深海など6つのゾーンで構成される没入型映像体験施設で、映像だけでも楽しめる一方、公式アプリを使うことで体験をさらに深められる設計だという。アプリでは、施設内の生き物にスマートフォンをかざすと情報を表示し、一定時間かざし続けることで記録をコレクションできる。集めた情報は後から見返すことができ、映像体験を学びにもつなげる仕組みだ。
菊池氏がアプリ開発で重視したのは、「目の前の生き物にスマートフォンをかざすだけで直感的に楽しめる」ことだった。その実現に向け、物体検出AIの応答時間については、ユーザーが遅延を意識しにくい100ミリ秒以内を最低条件として設定。検証当初はサーバーサイド推論も比較したが、画像転送や通信環境の影響で、この水準を安定的に満たすのが難しかったという。そこで、外部通信を介さず端末内で推論を完結できるオンデバイスAIの採用を決めた。これにより応答速度だけでなく、通信量削減やプライバシー面での利点も得られたと説明した。
iOSとAndroidの二重開発もAIで効率化
アプリ開発の体制面では、iOSとAndroidの両対応が必要になるなか、単一コードベースでの開発ではなく、OS別開発を選択した。オンデバイスAIではカメラデータへの直接アクセスやネイティブライブラリによる高速化が必要で、これが判断の理由になったという。そのうえで、OS間で共通化できるビジネスロジックにはKMPを採用。UIはSwiftUI(IOS専用ロジック)とCompose UI(Android専用ロジック)でそれぞれ実装しつつ、KMPでロジックの一部を共通化することで、仕様の解釈違いや実装のずれを抑え、品質の安定と開発効率の向上を図った。


