はじめに:“広告的「IP」思考実験”とはなにか
ヒットIPは、なぜ広がり、語られ、愛され続けるのか。
本連載では、広告領域とコンテンツ領域の交点を見つけることを目指し、IPが本来持つ可能性を最大限に引き出すための補助線を引いていく連載です。
今回のテーマ:『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』
さあ、2回目。プランナー/コピーライターの多々良です。
今回のテーマはYouTubeのショートアニメーション(全12話)で旋風を巻き起こした風雲児、『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』(以下、『ミルキー☆サブウェイ』)です。
『ミルキー☆ハイウェイ』から続く、ミルキーユニバースの新作として登場した『ミルキー☆サブウェイは』、1話たった210秒のアニメーション。
しかし侮るなかれ、短さに反比例するような魅力を放っているのです。
サラッと見られる作品です。まだ見ていない方はこの期にぜひ一度ご覧ください。
第1話:https://www.youtube.com/watch?v=iHd7eWUXuLU
©亀山陽平/タイタン工業
210秒という尺や、テンポのいい会話、キャッチーなデザインももちろん特異なポイントですが、それらに潜む本作の特異性は「“好きになる”を楽にしたコミュニケーションデザイン」だと考えました。
この記事では、そんな話をしていきたいと思います。
ちょっとだけ補足:広告っぽい分析について
広告領域からの分析という本記事の特性をより際立たせるために、広告施策を語る際によく用いられるフレームを流用したいと思います。
それは、一つの施策を「戦略」「構造」「表現」に分割して考察するというものです。
[図1]
「表現」は、実際に世の中が目にする映像や音のことを指します。そこから「構造」、そして「戦略」と2段階メタな視点で持って分析するのです。(ただ、3層を通貫して言語化されていることは意外と少ない。不詳多々良、この3層分析の第一人者ではないかと自惚れています)
ご安心ください。意味がわからずとも読めます。
ここは「ふーん」くらいで流してしまってください。
戦略についての考察:ミルキー☆サブウェイは、“好きになる”を楽にした
今の視聴者は、作品を好きになる前に、かなり多くの負担を求められています。
例えば、世界観を理解する。キャラクターの関係性を覚える。
例えば、過去作を追う。推しを決める。ファンダムの空気を読む。
ちゃんと泣く。ちゃんと熱狂する。

