W杯敗戦当日の午後に制作決定、4日後に企画完成 毎年話題のJリーグ開幕ムービー、その裏にある「サポーターとの勝負」

サッカー日本代表が北中米ワールドカップを終えた朝、街には言葉にしにくい空気が漂っていた。期待を背負ってブラジル戦に臨み、先制しながらも逆転負け。日本代表の戦いは終わったが、日本サッカーの歩みは終わったわけではない。
 
Jリーグは8月7日の明治安田Jリーグ開幕を前に、プロモーションムービー「四年後は、この夏からはじまる。」を公開した。ワールドカップ後の喪失感から始まり、その熱を次のJリーグ、そして4年後へつないでいく内容だ。
 
企画・演出を手がけたのは、自身もJリーグを応援する映像演出家の磯見大氏。実はこの映像、日本代表がワールドカップから敗退した当日に制作が決まり、わずか数時間で原案が生まれ、さまざまな議論を経て4日後に企画が完成していた。
 
Jリーグは2023年以降、開幕に合わせてファン・サポーターの日常や独特の文化を描くムービーを継続的に公開してきた。なぜ、開幕告知にここまで物語性の強い映像をつくるのか。Jリーグのプロモーション担当オフィサーの西功暉氏と磯見氏に聞いた。

敗戦当日の午後に依頼、4時間後には企画送付

「四年後は、この夏からはじまる。」の企画が動き始めたのは、日本代表がブラジルに敗れた6月30日だった。

磯見氏によると、同日午後、Jリーグ側から「やはり制作したい」と連絡が入った。公開まで時間がないため、当初は過去素材とナレーションを組み合わせる案が想定されていたという。

ところが、その約2時間後には磯見氏から「いい企画ができたのでまとめています」と返信。さらにその2時間後には、撮影を伴う企画案を送っていた。

「4、5時間くらいで企画を考えました。なぜすぐ思いついたかというと、これは本当に自分自身の体験だったからです」

磯見氏はブラジル戦を東京・五反田で観戦していた。試合終了後、同行者と無言のまま店を出ると、同じ代表ユニフォームを着た若者たちと出会った。互いに同じ表情を浮かべ、目が合うと、言葉を交わさず握手してすれ違った。

写真 カット

その時に感じた「日本中が同じ気分なのではないか」という感覚が、映像の出発点となった。

完成した映像では、敗戦直後の街を歩く人々の姿から物語が始まる。悔しさや虚脱感を否定せずに受け止めた上で、スタジアムで笑い、食べ、ゴールに沸く人々の姿へとつなげた。

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