AIで差がつかない時代に、僕たちはブレストをする。〜面白法人カヤックの「手の内をのぞく」其の2〜

同僚、上司、顧客、そして自分の脳みそを使い切る

同僚との定例会議や、上司との1on1、顧客からのオリエンなど、会議の形式はたくさんありますが、言われたことを持ち帰り、自分一人で考えなくてはいけない状況というのを極力回避したいですよね。これまでの経験の蓄積や、問題に対する深い理解は上司や顧客の側のほうが多く持っているはずなのに、自分一人に任される。これはおかしな話です。

ただ「一緒に考えてください」とは立場上なかなかお願いできないもの。

そういう時もブレストが役に立ちます。上司や顧客に優れたアイデアを出してもらわなくても、こちらが出したアイデアの断片に対して、簡単なリアクションをもらえることもブレストの利点。あとで迷いそうな二択を今のうちに潰すことができる。OKラインにあたりをつけておく。みたいなことをあらゆる会議形式で試してしまえば良いのです。つまり、目の前にある脳みそを貪欲に使い切るために、瞬発力を持って会議に挑むマインドこそが、ブレストだということです。

一方で、一人で考えたくないから何から何までAIと壁打ちをして考える人がいます。AIにはいくらでもアイデア出しをお願いできます。しかし、自分よりも顧客の方が深い理解を持っているように、AIよりも自分のほうが複雑なコンテクストや大局的な視点を持っているはずです。なのでアイデアを全てAIに出してもらうよりも、AIには自分の脳みそを使い切るような仕組みを作ってもらい、自分の脳みそを使い切って、考えをまとめて行く方が、きっと良い成果につながるはずです。

AIに草案を作ってもらい、画像生成をした企画書は誰でも簡単に作れます。一見すると、知的生産の平均ラインが上がったように見えますが、皆が一斉に同じようなことをできるようになったので、競争の順位は変わっていません。結局人よりも脳みそを使い切るための努力ができる人だけが、人とは違う創造的なものを作り出せるということは変わっていないのです。

質より量より篩(ふるい)

講座で伝えたいのは、アイデアを大量に出す技術そのものよりも、「探索を諦めないマインド」と「選ぶ力」です。

僕らの仕事は突き詰めれば、ヒットやバズ、流行のきっかけをずっと探し続ける「探索」です。アイデアを出すこと自体は、カヤック流のブレスト術を学べば誰でもできるようになるはずです。でも、そのアイデアで実際に成功できるかは別の話で、実は「アイデアを考えること」より「選ぶこと」の方がずっと難しいのです。

限られた試行期間の中で、いかに早く「これはダメだ」という結論を出せるか、あるいは「やらない」と決められるか。これも立派な貢献です。そのために僕が意識しているのは、評価基準そのものを仮説として決め、その基準で選んだ結果を振り返ること。結果が悪かったときに「アイデアがダメだった」と結論づけるのではなく、「評価基準がダメだった」と捉えてアップデートしていく。このPDCAを回すことで、次に同じような判断をするときの精度を上げていけると考えています。

カインズさんとの取り組みはまだ道半ばですが、こうした「アイデアを大量に出す力」と「選ぶ精度を上げる仕組み」の両方を、今回の講座を通じて実践的にお伝えできればと思っています。

カヤック おもしろ突破塾

開講日 2026年9月12日(土)19:00~21:30
講義回数 全8回  ※隔週土曜日開催
開催形式 教室(表参道)開催
※最終回のみ、鎌倉のカヤックのオフィスにて開催

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泉聡一

面白法人カヤック
ディレクター

高専、大学、大学院と情報工学を学ぶが、就活の際にエンジニアではなくディレクターになりたいと直感し、2012年に勢いでカヤックの企画部にジョイン。クライアントワークでコーポレートサイトやキャンペーン、R&Dのプロジェクトに多数従事。現在はホームセンターのカインズにて新規事業の立ち上げ・運営・企画・開発などを行っている。ディレクター、プロデューサー、プロダクトデザイナー。今流行らせたいものは「ホームパーティ」。

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