クラシアンは6月に公開したテレビCMの中で、かつて出演していた森末慎二の約28年前の姿をAIを使って再現した。その戦略について、博報堂のクリエイティブディレクター河西智彦さんに聞く。
「思い出し」と「信頼感」の戦略
クラシアンは6月19日、新たなテレビCM「トイレのトラブル2026年」篇、「キッチンのトラブル2026年」篇を公開した。水まわりのトラブルに駆けつける新イメージキャラクターの原田泰造と、工具箱から現れる森末慎二が共演する。森末さんは1998年から2012年までクラシアンのCMに出演してきた。今回登場するのは、AIで再現された41歳当時(1998年)の姿だ。
「トイレのトラブル2026年」篇。
企画の起点は「“クラシアンのCM”そのものを思い出してもらうこと」だと、企画を担当した博報堂のクリエイティブディレクターの河西智彦さんは語る。「♪くらし安心クラシアン」というお馴染みのCMソングとそれを歌う森末さんは、長い間クラシアンを象徴してきた。その後、歌を使わない時期や、別のタレントを起用する時期も経たが、「やはり多くの人の記憶に森末さんと歌が残っている。結果的に森末さんが歌う型へと回帰するのが、ブランドイメージとして最適だと考え、得意先の方々も賛同してくれました」。
ターゲットの多くは50~70代。「家が経年するとトラブルが起きやすく、依頼はどうしても年齢の高い層からが中心です。その人たちはかつてテレビCMをよく見ていた世代なので、とにかくあのCMを思い出してもらいたい。それが大前提の戦略でした」(河西さん)。
今回の企画のもうひとつの軸が「信頼感」だ。新たに原田さんを起用した理由を、こう説明する。「昨今、家の中に人が入ってくるサービスには警戒心を抱く人も多く、信頼感が重要になります。クラシアンはずっと信頼度が高いブランドなので、多くの人がすぐに顔と名前が一致する原田さんにお願いしたいと考えました」。かつての歌と森末さんで思い出してもらい、令和の新しい顔として原田さんを重ねる設計だ。







