沖縄県は、新たな県政の発足を控えている。9月13日の県知事選で初当選した前那覇市副市長の古謝玄太氏は、選挙戦で「観光消費を2倍に増やす」と掲げ、県の観光収入を1兆747億円から2兆円へ引き上げる目標を示した。空港機能の強化や海外航空路線の誘致、AI活用などを通じ、「アジア随一の国際リゾートアイランド」を目指すとしている。
一方、その足元を見れば、観光客にはなかなか見えない課題も残る。東京ビッグサイト(東京・江東)で9月24日に開幕した「ツーリズム EXPO ジャパン 2026」には、沖縄県や市町村、観光事業者など計23団体が出展。宿泊税の使い道をめぐっては県民と観光客の視点の違いが浮かび、琉球泡盛では酒造所の事業承継、水族館では県外での認知不足といった課題が聞かれた。
11月23日に一般公開を始める首里城正殿や、登録5周年を迎えた世界自然遺産など、新たな観光資源を発信する動きも進む。観光収入2兆円を掲げる新県政の発足を前に、沖縄観光の現場にはどんな「宿題」が残されているのか。会場を歩き、担当者に新県政をどう受け止めているのかも聞いた。
月桃の香りで世界遺産をPR
沖縄県と沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)が掲げたテーマは「沖縄の伝統・文化」。コンセプトを「見る沖縄から、触れる沖縄へ」とし、自然や景観を見るだけではなく、地域の文化や人々の営みに触れる旅を提案した。
メインブースには沖縄の伝統芸能を象徴する花笠をモチーフに取り入れ、沖縄エリア6カ所を巡ると紅型柄が完成する「重ね捺しスタンプラリー」も用意した。
沖縄関連ブースの周辺では、鳥の声や植物の香りが漂う。「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録5周年を紹介する展示コーナーだ。
「さとうきび」などが展示されたコーナー
4地域は2021年7月26日に世界自然遺産に登録された。沖縄県などは節目に合わせ、地域の自然の価値や環境保全の取り組みを改めて発信している。
コーナーでは、月桃など現地に生育する植物を実物で展示。香りだけでなく、葉に触れた感触も体験できる仕掛けとした。
担当者は、登録5周年の認知を広げるとともに、やんばるや西表島など、ビーチとは異なる亜熱帯地域の自然にも目を向けてもらいたいと説明した。
知事交代を受けて新県政の観光政策に期待することがあるかを聞いたところ、担当者は、沖縄はもともと観光立県であり、知事が代わっても観光振興そのものが重視されなくなることはないとの見方を示した。その上で「多少は変わるとは思う」としつつ、「大きくガラッと変わるかどうかは、ちょっと分からない」と慎重に受け止めていた。
今後について、11月に正殿がお披露目となる首里城と並び、世界自然遺産の登録5周年を継続的に発信していくと説明した。

