前回は各ウェブサービスの違いを「どのようにデータを持っているのか」。具体的にはフローとストックという2軸に分けて、説明しましたが、今回は、そのデータに「どう人が絡んでいるのか」を交え、ウェブサービスにおけるコミュニティとツールの違い、そしてコミュニティの性質について書いていきます。
代替が効きにくいコミュニティの特性
コミュニティとツールの差がどこにあるかというと、ユーザー間に横のつながりがあるかどうかであり、その横のつながりこそがコミュニティです。例えばFacebook、Twitter、mixiなどはコミュニティであり、今でこそ「SNS」という一言で説明できますが、具体的にそのサービスが何か、を説明するのはサービスの知名度が高まった今でもなかなか難しいです。
対してツールはある問題を解決、ないしは機能を果たしてくれる場合が多く、サービスの内容を一言で説明しやすいです。LINEやPaypal、GunosyやRSSリーダーなどはツールになります。LINEは一見コミュニティに見える部分もありながら、あくまでツールなんですよね。電話帳のネットワークを介したメッセンジャーツールであり、LINEの場合は前述の説明しやすいかどうかという観点からも「メッセージのやりとりをするためのアプリ」と一言でその内容を表すことができます。送金したり、ニュースを見たり、サイトの更新情報をチェックしたり、ツールの場合はその目的が明確化されています。
コミュニティというのは作るのに時間がかかる一方、代替が効きにくいという特性があります。第1回のコラムでプラットホームは街だという喩えを使いましたが、コミュニティのリアルの世界の代表例としては街も然り、学校、はたまた飲み屋などもそのひとつになってくるでしょう。ユーザーはコミュニティにこそ、従属意識を持ちます。ツールのほうは電話、郵便などインフラ的なものが挙げられますが、ユーザーは依存はするものの従属意識はあまりもちません。
コミュニティはリアルの世界と似ていて、横のつながりがある限り、良くも悪くもすぐに他のものにリプレイスされるということが起こりにくい特性があります。対してツールは、リアルの世界では物理的制約上代替が効きにくい部分がありますが、物理的制約を受けにくいウェブ上においては、よりよい機能を持ったものが出てくると、急激なスピードでユーザーがそちらに移行するということも珍しくありません。
数年前は多くの人がコミュケーションツールとして携帯メールを使っていたと思いますが、LINEがいい例で、この1〜2年でそれに替わる地位を築き上げてしまいました。言うまでもなくすごいことですが、同時に先の数年でまた別のサービスがこのポジションを取るということも大いにあり得るのです。
ただ、横のつながりがあるとこれがなかなか難しくなります。Facebookがmixiを攻略したと言えるのもこの数年の話ですが、本国で覇権を取ってからはすでに7〜8年が経過してのことでした。そして都市部ではFacebook に席巻されたと言われるmixiですが、地方ではまだまだ支持されているという話も聞きます。便利なインフラが目の前にあるとユーザーはそちらに動きますが(ツール)、コミュニティの場合は目の前に箱があっても、ユーザーはすぐにはそちらには動かないのです。渋谷と同じお店、ビル、道を中国に作ったとしても、すぐに渋谷がなるかといえばもちろんそうではありません。この代替不可能なところが「コミュニティ」の大きな武器になっています。
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