本欄では、広告主、広告業、メディア、クリエイターなどの垣根を超えて広告界の未来を本音で語りつくした2日間のセミナーの一部を紹介します。
【目次】
- 1ページ目 これからの“メディア”の捉え方――アウトブレインジャパン
- 2ページ目 クロスメディア環境下のTV×Web広告最適化を考える――インテージ
- 3ページ目 タブレットによるデジタルマーケティングの拡張~その魅力と実現のポイント――インフォテリア
- 4ページ目 「診断ゲーム」はもう古い?SNS活用型キャンペーンで電子ギフトが支持される理由――SBギフト
これからの“メディア”の捉え方
<登壇者>
- アウトブレインジャパン 社長 嶋瀬 宏 氏
なぜ今コンテンツマーケティングが重視されているのだろうか。「広告や情報が氾濫するなか、ユーザーの広告への反応が鈍化してきている」と話す嶋瀬氏は、「ユーザーの認知と興味・関心の間にパーミッションが必要だ」という仮説から、コンテンツに潜在顧客を惹きつける方法を紹介した。
商品自体にまだ関心が湧いていないユーザーに“こんなにいい商品ができたので見てください”と表示しても反応してもらいにくい。
コンテンツでユーザーが求める情報を与え、ユーザーとの関係を構築した上で広告を見てもらえば、広告はユーザーにとって必要な“情報”として受け入れられる。こういう段階を踏むことがマーケティング施策をより効率的にするために重要であると、嶋瀬氏は台湾のスマートフォンメーカーHTC米国法人が、『ニューヨーク・タイムズ』に記事を掲載した事例を通じて説明する。
その記事は、「最近あまり目立っていなかったHTCが久々に出した携帯端末の素晴らしい点とやや不満足な点についてフラットに紹介する」という内容だった。
この記事に触れたユーザーと触れなかったユーザーを比較したところ、記事に触れたユーザーは触れなかったユーザーよりも、ブランド想起率が102%、ブランド好感度が約50%、購入意志が46%高まり、知人への紹介意向が46%、ブランド優位性が高いと思う人が32%、それぞれ向上する結果となった。
嶋瀬氏は「コンテンツマーケティングがさまざまな面で非常に有効に働くことが明らかになり、テレビCMに加えて、コンテンツを作りユーザーとエンゲージしていく方向にシフトする企業が増えている」と解説する。
重要なのは、苦労して作ったコンテンツをどのようにしてより多くの人に見てもらうかだ。嶋瀬氏はインターネットの利用シーンを次の4つに分ければ、効果的な誘導施策が見えてくると話す。これまで主流だったのは「ソーシャルメディア」「ショッピング」「サーチ」の3つ。
加えて、嶋瀬氏が注目するのは「ディスカバリー」だ。
「アウトブレインが提供するメディアサイト内のレコメンデーション枠を通じて、記事や動画を楽しんでいる人たちを誘導することが鍵となります。彼らはモールでウィンドーショッピングを楽しんでいるようなもので、面白そうなコンテンツを発見(ディスカバリー)すれば、サッと敷居をまたいでくる。
コンテンツを起点に、ユーザーに適切なレコメンデーションをして企業のオウンドメディアへ誘引すれば、サイト内の他の情報も見ようとするエンゲージが高いユーザーたちを獲得することができます」。
アウトブレインの欧米ユーザーを対象とした調査では、セッション中のページビュー、滞在時間、離脱率で、「ディスカバリー」タイプのユーザーは他の施策と比較しても非常に高い数値を示したという。
「コンテンツマーケティングを実践するには良質なコンテンツと良質なディストリビューション(流通)が重要」と嶋瀬氏は強調する。「これまで以上に、ユーザーが読んで面白く感じたり、ためになったと思うコンテンツをつくり、適切に流通させることが大切だと考えます」と、講演を締めくくった。
クロスメディア環境下のTV×Web広告最適化を考える
「アドタイ・デイズ 2014 事務局」バックナンバー
- 「勘と経験」頼みのマーケティングが変わる/アドタイ・デイズレポート(17)(2014/6/04)
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