本欄では、広告主、広告業、メディア、クリエイターなどの垣根を超えて広告界の未来を本音で語りつくした2日間のセミナーの一部を紹介します。
【F2】4月16日(水) 11:30~12:30
宣伝の本流、テレビCMにテクノロジーを取り込む
<登壇者>
- テレビ朝日 コンテンツビジネス局長 今井 豊 氏
- カンター・ジャパン 代表取締役社長兼CEO 大竹 秀彦 氏
- ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング マーケティング-ブランドビルディングメディア メディアダイレクター 山縣 亜己 氏
- デジタルインテリジェンス 代表取締役 横山隆治氏
<モデレーター>
- 月刊『宣伝会議』谷口優
■テレビとデジタルを組み合わせて、どう効率的に投資効果の改善をはかっていくか。
——テレビ局がよりテクノロジーを取り込むことや、オンラインでのビジネス拡充に企業側の期待もあると思いますが。
今井:テレビ局には、いまオンラインでのビジネスを拡大させていかなければならないという課題はあります。
テレビ朝日では現在、テレビ番組の再放送のネット配信は全て有料課金でビジネスを展開していますが、このまま有料課金で続けていくのか、無料配信にし、動画広告の収入として展開していくのか、検討している段階です。これは、民放各局すべてが取り組んでいる課題だと思います。
横山:私は、日本でもついに今年動画広告の活用が本格的にスタートしたと感じています。
これまでのインターネット広告の効果指標は、主にインプレッションでした。しかしながら、その広告が触れたことで消費者をどう変化させたのか。これからは認知や購入意向など、その時々の広告活動の目的に応じて、例えば態度変容における効果も検証していくべきと考えています。
そして、態度変容をも見据えた広告展開を考える際、テレビとデジタルを組み合わせて使う方がより効果的という調査結果があります。
ユニリーバ・ジャパン・カスタマーマーケティング 山縣 亜己 氏
大竹:我々が行った調査でも、マス広告のテレビとデジタルを組み合わせることが効果的という結果が出ています。
もちろんこれが正解ということではありません。特にオンライン上の広告には、様々な種類のメディアが生まれてくるので、いかに組み合わせていくのかが、これからの課題になると思います。
また、テレビ広告は投資額が大きいので、放映前にクリエイティブ調査をする企業が多いですが、オンライン広告になると、そこまで確認していない企業が多い。ここも改善の余地があると考えています。
山縣:当社の場合、テレビ広告への投資の割合が高いので、デジタルに関しては少しずつ進めているところ。ただデジタル広告になると、テレビほど事前の調査にまで、予算をかけられないという事情もあります。
■テレビのコンテンツ力は抜群
大竹:テレビのメディアとしてのパワーは、コンテンツのリッチさに尽きると思います。
今井:コンテンツを作る力は、日本のテレビ局が時間をかけて培ってきたものです。制作会社やいろんな方と築き上げてきた財産ですので、その強みはオンラインでも発揮できるものだと思っています。
ちなみに、広告主側はデジタル上でどんなコンテンツを求めているのか、放送局としてはとても興味があるところです。
山縣: お客様の感情が揺さぶられるようなもの、喜怒哀楽が大きく動くようなコンテンツでしょうか。
あとはコンテンツに集まる、オーディエンスの質と量。当然ですが、お客様になりうる人たちをどれだけ多く集められるかが大事。だから地上波でもデジタルでも良くて、人が集まっているところで宣伝をしたいです。
今井: こういうことを言う時代ではないかもしれないですが、オンラインで大ヒットするオリジナルコンテンツをつくると、地上波の番組と競合になることもありえます。
あとは営業的な部分でも、オリジナルコンテンツの方に広告費がシフトするリスクも考えられます。我々の立場からすると、極力、地上波の番組にうまく相乗効果が生まれるような展開ができるのが理想です。
ですから、再放送ではない連動性、スピンオフ、そういった展開を模索している状態です。
ただ動画コンテンツは、いわゆる視聴者データがテレビの個人視聴率ぐらいの制度しかないんです。そこもネックになって、まだビジネス化ができていない。属性が整備されれば、あとはどれだけお客様を集められるか。どんどんセールスができると思う。
データの整理の方は、社外の会社さんと進めているところです。
横山: 良質な掲載面に出さないと、良質なオーディエンスの認知・態度変容の効果はとれないと思います。そういう意味で、スピンオフでもいいので、テレビ局さんには動画のコンテンツを出して行ってほしいですね。
――最後に一言お願いします
今井: 本当に勉強になりました。我々はコンテンツを作ることが最大の武器であることは間違いない。より一層、デジタルを利用して、もっと強いメディアにしていけたらと思います。
大竹: 私はテレビっ子で、1日3時間ぐらいテレビをみるんですよ。そういう意味で、色んなコンテンツがリッチになれば、消費者としても楽しい。いいコンテンツに溢れる世界を作っていきたいですね。
山縣: まだ、日本の広告主はデジタルを特別視しているところがあると思います。
しかし、人が集まるところで宣伝したいという思いは、もうプラカードを持つ時代から変わっていない。お客様に好きになってもらえるプロモーションの方法を考えて、続けていくことだなと感じました。
横山: テレビCMに、テクノロジーを取り込むには、まだまだ課題があります。
ただ広告予算の高いテレビCMを、最適化する余地は充分にある。100億円使って5%改善するだけで5億円もの投資を削減することができます。そこにデジタルから取り入れられるデータを、上手く使えるといいと思いますね。
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