【前回のコラム】「コピーライターになるために、やってみたこと。」はこちら
武田さとみ(電通 第3CRP局 コピーライター)
基礎コース修了から1年。
もっとがっつりやってみよう、と谷山・井村・吉岡・照井クラス(以下、谷山クラス)
に通うことにしました。
コピーを「選べない」自信がつく、谷山クラス。
谷山クラスに通っていました、と言うと8割くらいの確率で、
「た、谷山クラスは厳しいってほんとですか?」と怯えた目で聞かれます。 たしかに、
講師「自分の書いたコピーで、どれが良いと思ったの?」
わたし「えーと、●●●●です。」
講師「このちっとも良くないやつ?本気で言ってる?」
わたし「あ…ですよねェ…ヘヘヘ…」
みたいな会話をクラス40人の前でしなきゃいけないこともある、
なかなかに緊張感のあるクラスです。
コピーを書くことももちろんですが、それと同じくらい、
そこから「良い」コピーを選ぶことも求められました。
ここでわたしは「自分は本当に『良いコピー』が選べないんだ」と思い知ります。
はじめは「いやいやコピーぐらい自分で選べるでしょ」と心の底から思っています。
しかしやがて「おや?おかしいな」と雲行きが怪しくなり、
「あれ、全然わかんない」「………コピーってなに?」を経て、
「すごい!全く選べない!奥が深い!感動!」の境地に至りました。
この「コピーを選べない自信がついた」と「コピーを選ぶ自信をなくした」は、
似ているようでじつは全然違うんじゃないかと思っています。
まず、前者のほうがお気楽です。自分が正しいと思ったことを否定されるのは結構辛いので、
どうせならお気楽に考えたいなあと思っています。
それから「できないことが分かっているからこそ、できることがある」ということ。
今回はこれをテーマに書いてみようと思います。予告していたボウリングのお話しです。
コピーと、ボウリングは似ている。
わたしは右利きです。なのでボウリングをすると、構造上、どうしても球は左に行きがちです。
カーブをかけるなどというテクニックも持ちあわせていないので、何回投げても左へ行ってしまいます。
問題:では、センターに球を投げたいときどうするか?
答え:投げる位置を、右にずらす。
これで、左にずれても、結果として球は中央のピンを目がけてくれます。
コピーもこれと同じでした。
良いコピーが選べないのなら、自分が「良いと思わないやつ」を選んでみる。
「これじゃないな」と思うやつを「良いコピー」だと思うことにしてみる。
そうやって自分の感覚をずらして選ぶことを繰り返しているうち、
徐々にですが、ストライクゾーンのコピーを選べるようになっていきました。
このズレの幅、ボウリングでいえば自分が「どれくらい左に行く癖があるのか」がわかってくると、
今度は徐々に、ストライクの精度を上げられるようになりました。
「これは絶対良いコピーじゃないな」の感覚は合ってきているみたいだけれど、
「これ?違うと思うけどなあ」くらいが、どうやら良いコピーということになるらしい。という風に。
このコツを覚えてから、少しずつ、本当に少しずつ、
良いコピーとはこういうことなのかも…という感覚が芽生えていきました。
(そもそも良いコピーってどんなコピー?については、講座で聞いてみてください)
ボウリングもコピーも、できないからこそ、できたこと。
できないのも捨てたもんじゃないなあ、と思った出来事でした。
2回目も終わりです。ここまで読んでくださってありがとうございます。
次回は、「公園にいったら、ともちゃんがいた。」みたいなことを書きたいと思います。
やっと肩の力を抜いて書けるようになってきてうれしいです。次回もよろしくおねがいします。
武田さとみ(たけださとみ)
電通 第3CRP局 コピーライター。1990年生まれ。神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。2014年TCC新人賞、読売広告賞協賛企業賞。宣伝会議コピーライター養成講座100期生、専門コース(谷山・井村・吉岡・照井クラス)4期生。つい先日、ラジオCM制作実践講座修了。
『コピーライター養成講座』
一流を育てる実践型カリキュラム
多彩な修了生を輩出している本講座。広告クリエイティブだけでなく、インタラクティブ領域のコミュニケーション、マーケティングやメディアクリエイティブなど、さまざまな視点からコミュニケーションを構築する能力を養い、次世代のクリエイターを育てます。
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