SNS時代の今、「口コミ」は認知・情報探索媒体として機能している

株式会社宣伝会議は、月刊『宣伝会議』60周年を記念し、11月29日にマーケティングに特化した専門誌『100万社のマーケティング』を刊行しました。「デジタル時代の企業と消費者、そして社会の新しい関係づくりを考える」をコンセプトに、理論とケースの2つの柱で企業の規模に関わらず、取り入れられるマーケティング実践の方法論を紹介していく専門誌です。創刊号の記事の一部を、「アドタイ」でも紹介していきます。詳しくは、本誌をご覧ください。

清水聰 (慶應義塾大学 商学部教授)

態度決定から認知、情報探索媒体へ

口コミは英語では「Words of mouth」や「Buzz」と表現され、対人コミュニケーションから発生したものだ。そして口コミは、購買行動に影響を与える存在として、長らく企業の人たちも関心を持ってきた。

元来の口コミと言えば、自分が所属している集団の中でもイノベーティブな人や、特定の商品について知識が豊富な人の意見、というイメージを持たれていた。

例えば自動車を買う場合に、用途に合った車種がA、B、Cとあり、その人の個性に合うものはどれかというところまで聞くことができるので、商品選びで迷っている時に背中を押してくれる存在として機能してきた。こうした形の口コミは、自発的に発信されるものではなく、あくまで受け取る側が発信元に聞きに行かなければ得ることはできなかった。

一方でSNSなどの普及により、近年では自分と関わりがない組織や人によるSNS・ブログなどでの発信が、購買行動に影響を与えるようになっている。

従来型の口コミが消費者の購買行動プロセス「AIDMAモデル」でいうところの最後のA(Action)、つまりは行動段階に影響を与えていたのに対して、近年のそれはインターネットの普及による発信手法の変化に伴い、最初のA(Attention)、認知段階に影響を与えるものへと変わっている。

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