<講演者>
- ネクスト HOME’S事業本部 リッテルラボラトリーユニット ユニット長 秋山 剛 氏
- シャープ 通信システム事業本部 マーケティングセンター 新規ビジネス戦略推進部 部長 小林 繁 氏
- ソニー 新規事業創出部 I事業準備室 統括課長 MESH project リーダー 萩原 丈博 氏
3Dプリンタの普及など、ハードウェア開発が容易になり、様々なアイデアが形にしやすくなる中で、スタートアップだけでなく、企業もデジタルテクノロジーを駆使し、生活者に驚きや感動を与えるクリイティブに挑戦するようになった。こうした先進的な取り組みを行う企業の担当者に、その開発の背景やアイデアの導き方についてお話いただいた。
リアル×テクノロジーが可能にする、新しいデジタル体験
——お3方がそれぞれ作られているものについて教えていただけますか。
秋山:
HOME’Sの「すごい天秤」は、物件探しができる天秤です。左側の皿には家賃の分銅を、右側のお皿に間取りやその他の条件の分銅を置くと、天秤が自動で検索を始めてくれて、釣り合った状態で物件が見つかるプロダクトです。コンセプトは、「住まい探しは、宝探し」。同じ間取りでも、日当たりも違えば隣人も違い、2つとして全く同じ物件はありません。理想の住まいを探すことは、宝探しに近いのではないかという発想で開発に至りました。
「すごい天秤」で提供したかったことは2つあります。一つは物件探しを楽しんでもらうこと。「HOME’S」では以前から「掲載物件数No.1」という目標を掲げていて、その目標は達成し、検索機能も向上させ、UIも改良しました。…ですが、楽しくないんですよ。機能は向上したけれど、残念ながら探す楽しみという観点では弱かった。もう一つは検索順位の優先度です。検索の際に条件を簡単に指定できるようになった結果、さほど重視していない条件まで指定してしまい、その結果表示される検索結果を見てもピンとこない、という現象が起きていました。もっと自問自答しながら検索条件の優先度を決めていただきたかったのです。

