*本記事は9月1日発売、月刊『販促会議』10月号の記事を先出し、公開したものです
活用事例に見る四つの注意点ECの動画活用に正解はありませんが、失敗パターンはあります。
ソーシャルメディアでは、シェアされることを目的にした感動系や面白系動画を見かけることは多いですが、そこから商品を買った経験がある人はそれほど多くないと思われます。さらに、より直接的な「商品販売系の動画」については、よほど興味がなければ見もしないし、シェアしたこともない、という人が多いでしょう。
そこで今回は、動画を活用することで商品が売れたり、顧客との距離を縮めたりできている事例を紹介しながらポイントを整理してみます。
1、そもそも動画にすべき内容かどうか
ソファやマグカップのような「動かない商品」を様々な角度から撮影した動画を見かけることがあります。それも悪くはありませんが、写真でもできることを動画でやっているだけなので、さほど価値は生まれません。
とにかく何でも動画にすればよいというものではないわけです。「動画ならではのコンテンツになっているか」が第1の視点です。
芝刈機や耕うん機などの電動機器を扱う「ミナト電機工業」では、商品を使った実演ムービーや組み立て方法、使い方など3~5分の動画を650本以上もアップしています。これにより「楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー2013動画賞」を受賞しているショップです。
機械モノは「自分でも扱えるだろうか」という不安が購入のハードルになりがちなので、動画でエンジンの始動方法などを見てもらうと「これなら私にも使えそう」と買ってもらいやすくなります。
騒音値も「50デシベル」とスペック表記を見てもらうより、動画で実際の音を聞いてもらうことで「思っていたより騒音がひどい」のような苦情を未然に防ぐことができます。
店長によると、最近はメーカーから「ぜひ動画を作ってほしい」と商品の提供があったり、ユーザーの問い合わせを受けたメーカー担当者が「ミナトさんの動画を見てください」と案内することもあるそうです。
2、無理にプロっぽい映像を作ろうとしていないか
動画制作というと、テレビ番組やCMをイメージしてしまい「あんなクオリティの高いものを作るのは大変」と二の足を踏みがちです。がんばって作ったとしても、クオリティが高めであればあるほど「テレビと比べられてレベルが低く見られる」というワナがあります。
カメラ関連グッズのメーカー「フォトライフ・ラボラトリー ユリシーズ」では、自転車に乗る人のためのカメラバッグ「チクリッシモ」を量産化するプロジェクトをクラウドファンディングとして立ち上げました。ワンタッチでショルダーベルトを伸縮させて、すぐにカメラの取り出し・収納ができる高機能メッセンジャーバッグです。あるとき、代表の魚住謙介さんが友人にバッグの使い方を現物の試作品で説明したところ、その友人がスマートフォンでその「デモ」を撮影し、ソーシャルメディアにアップしました。25秒ほどの短い動画でしたが商品の特長が一目でわかりやすかったため、それを見た人たちがコメント欄で「これ欲しい!」「買いました!」と盛り上がっていました。
売り手ががんばって動画を作るのも大事ですが、「お客さんや第三者にスマートフォンで動画を撮ってもらう」という活用方法は一つの視点として持っておくとよいと思います。
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