「マーケティングオートメーション」に注目が集まり、日本国内でもツールを導入する企業が増えている。一方で、導入したものの効果的に活用できていないという声も多く聞こえてくる。なぜマーケティングオートメーションの導入が上手くいかないのか、そして、成果を出すためのポイントはどこにあるのか、次世代のマーケティングオートメーションとして「マーケティングプラットフォーム」を提唱し、この分野に定評のあるフロムスクラッチ 代表取締役社長 安部泰洋氏に聞いた。

運用に失敗してしまう企業が多い理由
――2014年から2015年にかけて、マーケティングオートメーションの導入企業が増えています。その背景から、教えてください。
マーケティングオートメーションが誕生した背景を紹介することが、一番分かりやすいでしょう。企業の営業活動において、これまで常に課題になってきたのが“リードの管理”です。
例えば、10人の営業担当者が所属する会社で、一人が毎月30件の新規企業に訪問するとします。商材にもよりますが、どんなに優秀な営業担当者でも訪問した企業全てから受注できるわけはなく、良くて3割としましょう。そうすると、毎月21件の企業から受注できず、営業担当者が10人いれば少なくとも毎月210件の“未受注企業リスト”ができます。それが3カ月で630件、1年間では2520件にも上ります。ここまで来ると、人力では管理できません。
一方で、営業担当者は目標が毎月や四半期ごとに設定されているため、直近のニーズが無い顧客からは足が遠のきます。そして、数カ月後に連絡を入れてみると「競合企業に発注」していたことが判明し、機会損失に気付きます。
1万件の顧客リストがあれば、1万人の営業担当者を配置することが理想ですが、経済合理性からすると不可能です。そこで、テクノロジーの力で全顧客にアプローチしたいという発想で生まれたのがマーケティングオートメーションです。これはB to Cのビジネスも同様で、2000万人の会員がいれば、それぞれに最適なアプローチをしたい。